キアヌとウィノナ、世代的に大好きなスターが共演すると知って、絶対に観たいと思っていた、『おとなの恋は、まわり道』。このふたりが今回で4度目の共演になるなんて恥ずかしながら知らなかった私ですが、言われてみればすっごいお似合いですよね。黒髪の美男美女だし、同世代だし。『ドラキュラ』では結婚式を挙げるシーンも演じていたとか。

序盤は、「一体この最悪な第一印象がどうやったら覆されていくんだろう」と心配になるくらい相性が悪そうだったふたりですが、いつのまにやら心が通い始め……。キアヌの、仲良くなったのに「心は開かないぞ」というセリフが、大人のこじらせ男性あるあるで、笑ってしまいました。こういう頑なな男性、居るよな〜、と。

そんなふたりが今回は、「おひとりさま」生活が長すぎてこじらせている大人の男女の素直になれない恋愛模様を演じています。元婚約者キースがカリフォルニアのワイナリーで挙げるリゾート・ウエディングに招待された、「失恋から未だ立ち直れない重い女」リンジーと、キースの異父兄弟で複雑な家庭環境から「恋愛に夢が描けないネガティブ男」のフランク。聞くだけでもめんどくさそうな大人ふたりが、お互い最悪な出会いによる最悪な第一印象だったのに、リゾート・ウエディングに対する愚痴を吐き合っているうちに次第にお互いの良さに気づいていく、というストーリー。

特徴的なのは、ウエディングが舞台なのにキアヌとウィノナ以外のセリフが一切ないところ。イメージ的には、イーサン・ホーク主演の『ビフォア・サンライズ 恋人たちへの距離』シリーズと、ダメな大人がワイナリーを巡る『サイドウェイ』をミックスさせたような感じとでも言えばいいでしょうか。美しいワイン畑に美味しそうなワイン、そして恋愛音痴の男女の、ひねくれていてもどかしいやりとりの数々……。側から見ていると、「もうお前らくっついちゃえよ!!」って言いたくなるくらいお似合いなのに、なかなか気づかないふたり(笑)。じれったい!!


イケメンキャラのキアヌがTV観ながら独り言をブツブツ言うようなイケてないおじさんを、「ここまでやるか」と思うくらい演じきっていたのにも感嘆いたしました。ウィノナはこの映画の脚本を読んで「絶対キアヌと演じたい」と彼を口説き落としたそうだけど、たしかにこのふたり以外は考えられないほどにぴったりと息の合った掛け合いで、ウィノナがリンジーを生き生きと演じているのがわかります。

監督がリゾート・ウエディングに招待されて不快だったことからインスパイアされたというこの映画、随所にリゾート・ウエディングへの恨み節が。この謎のバルーンに入ってゲストたちがやらされていたゲームも、もしかしたら実体験から?


そしてバツイチでおひとりさま歴がまあまあ長くなった私としては、「あるある」過ぎて笑えないというかドキッとする場面も……(笑)!

日本公開は12月7日から、TOHOシネマズ日比谷ほかで全国ロードショー予定だとか。年末に大人の恋愛映画鑑賞はいかが?