こんにちは。ミモレの川端です。先日、NHKの「プロフェッショナル 仕事の流儀」が脚本家の坂元裕二さんに密着していましたね。「生きづらい、あなたへ~脚本家・坂元裕二~」というタイトルにあるように、坂元さんが描くドラマ(「Mother」、「最高の離婚」、「カルテット」など)には、生きづらそうな人がたくさん出てきます。「生きずらそうな人に向けて描きたい、万人ウケを狙いたいわけじゃない」ということをおっしゃっていて、すごく腑に落ちた気がしました。

先日の取材で訪れた仙石原のススキ。ススキってキラキラして綺麗ですね。

腑に落ちた、というのは、私がこんなに小説を読むようになったのは、どうしてだろうとずっと思っていて。今や職業病みたいなところもありますが、もっと子どものとき、思春期の頃は違う動機だったはず。

それは、「生きずらそうな人が生きずらそうな人のことを書いていて、こんな人でも大人で、生活もちゃんとしてるんだなあ」ということに勇気をもらってたのかもしれないと思ったのです。

太宰治とか三島由紀夫に始まって、原田宗典、穂村弘、若い時の林真理子とか、細かいことに気がつきまくってしまって、疑心暗鬼で、自我がこじれすぎて大変そう……みたいな人の文章を読むのが好きでした。モヤモヤを言語化できるってすごい。

振り返ってみると、「with」編集部にいた時も、「VOCE」にいた時も、そして今「ミモレ」でも、私はどこかそういう自意識をこじらせて大変そうな人と何かを共有したい、という気持ちで記事を作っている気がします。(救いたいというのはちょっと違うんですねえ、共有もちょっと違うんだけど、うまく言えない)。

もはや思春期の時ほどの繊細さは失ってしまいましたが。劣等感と承認欲求と自制心の戦いはもうずっとずっと死ぬまで続くのでしょうね。

さてさて、今日、ご紹介したい小説は(前置き長〜〜!汗)柚月裕子さんの『ウツボカズラの甘い息』です。

写真の本がヨレヨレなのは、お風呂場で落としてしまったから(汗) それはさておき、今、一番のりにのってる作家さんの一人、柚木裕子さん。映画化された『孤狼の血』も凄かった!! 広島のやくざモノですがぜひ見てください。

 『ウツボカズラ〜』の家事と育児に追われる日々の主婦・高村文絵。かつてはクラスのみんなが振り返るほどの美人だったのだけど、今はすっかり太ってしまってみる影もない。ある事件をきっかけに精神的な病気の治療を受けています。

ある歌手のディナーショーに出かけたことで、同級生・加奈子と再会します。「私、整形したの」と突然告白する彼女は、確かにものすごく垢抜けていて美人。お金持ちそうなのです。そして、醜かった学生時代、文絵に救ってもらった(文絵は覚えてないのだけど)お礼がしたいからといって、別荘へ誘い、ある化粧品ビジネスを持ちかけます。

ここからがどんどん恐ろしくて、読んでるこちらは「やめときなよ〜」と思うのだけど、文絵はそこにやりがいを見出してしまいます。化粧品の広報となった文絵はダイエットもして、どんどん綺麗になり、自信を取り戻して行くのです。

これ以上書くとネタバレになってしまうのでやめときますが、怒涛の後半の大どんでん返しに次ぐどんでん返し、誰が誰で、本当に悪いのは誰だ?とスピード感についていけないくらい!

ここに描かれるのは、学生時代の劣等感(主に容姿)の逆転劇とさらなる逆転。そして、加奈子も文枝も一種、生きづらそうな女性たちゆえに、容姿の変化が与える影響を、やや誇張的ながらスリリングに残酷に描いています。

気楽に読めて、ズシリと重い。一気読み間違いなしです!

ではではまた〜。