米倉涼子さんが、過去に観た映画を紹介するアーカイブ コレクション。
そのときに観た映画から、米倉さんの生き方、価値観が垣間見えます。

Entertainment One / Photofest / ゼータイメージ

『ダイアナ』では、『アベンジャーズ』に続いて吹き替えを担当した作品です。セリフも多く、やっぱりアフレコは大変なお仕事だと実感! 演出家さんにダメ出しをされてめげそうになりながらも、何とか収録することができました。

 

実は以前、ダイアナ妃に関するドキュメント番組のためにパリとロンドンをめぐったことがあるのですが、今回描かれている心臓外科医との恋は、はじめて知ったエピソード。秘められていた新鮮なストーリーが明かされていて、イギリスのプリンセスとしてではなく、ひとりの女性としてのダイアナの姿を身近に感じられたような気がします。

テレビ局のインタビューを受けたり、パパラッチを呼んで新しい恋人との写真を撮らせたことが裏目に出たり、たぶんダイアナはロジカルに物事を考えるというよりも、自分がいいと思う通りに行動する人だったんでしょうね。

もちろん私は彼女のように重いものは背負っていないし、追いかけ回されてもいないけれど、人として共感することがたくさんありました。この映画を観ながら、ダイアナがどんなことに傷ついているのかがすごくわかって、心が痛くなることも。
フラッシュから逃れるようにタクシーに乗り込むシーンでは、みんながダイアナを愛して興味を持っていたから仕方のないことだとはいえ、人が人を追い詰めることの息苦しさも感じました。
ダイアナの表情や動きを相当勉強してから役に臨んだのだろうな、というナオミ・ワッツの熱さと品位のあるお芝居にも引き込まれましたね。

『ダイアナ』
夫の不倫や王室との確執に疲れ果てて離婚した、元英国皇太子妃ダイアナ。王室を離れて自分らしい生き方を模索した彼女が出会ったのは、熱意と誠実さを持つ心臓外科医だった。36歳でこの世を去ったダイアナの知られざるエピソードを映画化した。

取材・文/細谷美香
このページは、女性誌「FRaU」(2013年)に掲載された
「エンタメPR会社 オフィス・ヨネクラ」を加筆、修正したものです。