米倉涼子さんが、過去に観た映画を紹介するアーカイブ コレクション。
そのときに観た映画から、米倉さんの生き方、価値観が垣間見えます。

Columbia Pictures / Photofest / ゼータイメージ

これが実話!? とびっくりしてしまった荒唐無稽なストーリーの『アメリカン・ハッスル』。天才詐欺師とFBI捜査官が手を組んだ、おとり捜査のゆくえを描いた作品です。

枕にしたら気持ちよさそうなお腹とおかしなカツラのクリスチャン・ベイルや、あやしいパーマのブラッドリー・クーパーに、最初の30分は笑いっぱなし。バーンとした体で大胆に胸元が開いたドレスを着こなし、女の対決を見せてくれるエイミー・アダムスとジェニファー・ローレンスの貫禄にも圧倒されました。

そして何より驚かせてくれたのは、汚職政治家をリーゼントで演じたジェレミー・レナー! 吹き替えを担当した『アベンジャーズ』のワールドプレミアでお会いしているのに、あまりにも見事なおっさんに変身していて最初は彼だとまったく気づかなかったほどです(笑)。

デヴィッド・O・ラッセル監督の前作『世界にひとつのプレイブック』に出演していたロバート・デ・ニーロも一瞬だけ顔を見せていて、とにかくキャストが豪華。
警察までが裏社会の人間になり、騙し騙されの頭脳戦が繰り広げられてだんだん観ているこちらも頭がこんがらがってくるので、お酒は飲まずに集中して観てくださいね。
バブリーで夢のある時代の物語を、たっぷりと楽しめると思います。

『アメリカン・ハッスル』
天才詐欺師のアーヴィンと、仕事のパートナーで愛人のシドニー。逮捕されたふたりは、FBI捜査官のリッチーに依頼されて、自由とひきかえに捜査に協力することに。その捜査とは、ニセモノのアラブの大金持ちを仕立てあげて、カジノの利権に寄ってきた政治家とマフィアを逮捕するという計画だった! ’70年代の実話をもとにした物語。

取材・文/細谷美香
このページは、女性誌「FRaU」(2014年)に掲載された
「エンタメPR会社 オフィス・ヨネクラ」を加筆、修正したものです。