2018年最後のこのコラムで告白したいことがある。
誤解を恐れずストレートに書いてしまうと、つい2、3年前までかなり長い間「服は体型が命」と信じて疑っていなかった。
7年ほどミラノスナップの雑誌連載を担当し、本国から送られてきた膨大な数の写真から素敵な着こなしの女性を選定、テーマ決めをし続けた私にとって、「結局体型がスラっとしていたらどんなに服だって素敵に見えちゃうんだ」という少しため息交じりの結論が出てしまっていたのだ。
体重の増減が激しい私は、服に関わるこの業界で生きる限り、素敵にとはいかないまでも体型には誰よりも気をつけねばと常にストイックに考えていた時期も何年か続いた。
でも今、きちんと撤回したい。
「体型さえ整っていれば素敵に着こなせる」は、完全に誤っていました!
長年見続けたストリートスナップから出たひとつの結論が違っていたわけじゃない。
やっぱりスラッとしている人は、ダルダルのTシャツに流行を無視したシルエットのデニムパンツだって格好がつく。
でもそれはピタリと止まって動かない写真だからこそ。
二の腕の太さやら足の短さやら、外見のネガティブポイントへ真っ先に目が留まりがちな写真たちの中で、完璧な体型は自然と羨望の的となる。
ただ、SNS慣れしてしまった今、実生活では決して誰も写真のようにピタリと止まってはいることはないということを忘れてしまいがち。
本当は体型よりもっともっと大切なこと。
お化粧でも服装でも隠しきれないこと。
それは所作。
横断歩道の歩き方、急いでいる日のバッグの持ち方、一人でいる時の立ち姿、気を許している時の話し方、少し特別な場所でのティーカップの持ち上げ方…。
所作がナチュラルに美しい人は皆、いつどこにいても凛としていて自分だけのスタイルを持っているように見える。
加えて、所作が綺麗なら、どんな外見のコンプレックスもその人の美しい個性として味方にできてしまう気さえする。
そもそも、例え顔も体型も完璧だとしても、所作が美しくなければ決して私たちの目に素敵に映ることなんてない。
そんなことをなんとなく心で感じながら、頭の中ではまだ整理しきれていなかったある日、雑誌の撮影中にカメラマンさんから「所作が綺麗ですね」という言葉をいただいた。
正直、この仕事をしていると男子と化している部分の方が多く、本当なら嬉しすぎるこの言葉は間違いなく不相応ということが明らかなだけに、普段褒め言葉は有り難く素直に受け取る私も流石に気恥ずかしい。
でもこの瞬間、当面の目標が新たに加わった。
体型や顔の理想形を追い求めるより、所作の美しい女性を目指そう。
さて、貴女の来年の目標はなんですか?自分だけの服を綺麗に着るコツはありますか?
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