「あ、ちょっと、貴女は女の子だから赤の方ね」
青を取ろうとする小さな私を大人は制止する。
子どもの頃、男の子は青、女の子は赤と大体相場は決まっていた。
あまのじゃくなせいなのか、私はそれが嫌でいつの間にか青や緑が好きになり、一方どんどんと赤を遠ざけるようになっていた。
20代になり、その若さ故の自分自身の強さと色の強さがケンカをして一層赤は私の好みじゃないと感じるようになると“一生身につけることはないな”なんて思っていたのに、転換期は意外と早く訪れた気がする。
その変化は30代になってから。
出産後、ベビーを傷つけまいとアクセは全て外し、化粧っ気もほとんどなくなって子育てに奮闘し過ぎていた時、その姿に見かねたのか、主人の「たまにはマッサージかネイルにでも行ってきたら?」という一言が始まりだったと思う。
足の爪にネイルを、とは決めたものの、何色を選んだら良いのかも分からなくなってしまっていた私は「赤がお似合いになりそう♡」というネイリストの方の言葉に乗っかって、人生で初めてパッキリとした赤を塗ってもらった。
初めは”自分の足じゃないみたい!”とちょっとした違和感があったけれど、入浴中や着替えている途中にふと爪の赤い色が目に入る度、どんなに心がささくれている時も、女性として存在している自分を瞬時に思い出させてくれると同時に、元気の素まで貰えているような独特の高揚感がポッと生まれる。
それを知ってしまってから、赤のペディキュアは私に欠かせないものとなった。
誰のためでもない、“自分のためだけの密かな赤”ということがなんだか嬉しくて、赤との関係性は敢えてそこまでに留めていたけれど、そろそろもう少しだけ、良く見える場所に欲しい。
鏡などを見られないほど余裕のない時だとしても、無意識のうちにふと目に入る場所。
出かける前、鏡を見てなんだか表情が暗いなと感じた時。
全体的に装いがダークトーンすぎるなと感じた時。
いつもとあまり変わらない服だけど、ちょっとしたお出かけの予定がある時。
女っぷりをちょっとだけ足したい時。
玄関でサッと。
今の私には、うつむいた時に目に入る、靴がいい。
でも、本格的な寒さが増してきたこの季節なら、暗いトーンの装いも見違える、赤いグローブなんていうのも素敵だ。
赤は私たちの気分をグッと底上げしてくれる力が間違いなく宿っている。
きっと、男性が赤を見た時の感覚とはまるで違う。
そう、今になってみると、小さい頃「女の子は赤」と言われたのは意外と完全なる間違いじゃなかったのかもしれない。
歳を重ねた今だから必要なこの色。
女性として生まれた喜びを与えてくれる色。
さあ、今年はもっと赤を活用しよう!
さて、貴女に力を与えてくれる色はどんな色ですか?自分がしっくりくる赤、探してみたことはありますか?
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