〈転換期〉2010年〜2018年
【脱イケメン】【スイーツ映画系】【エグザイル】3つの潮流


平成最後の12月が個人史的には何も華やかなことがないままあれよあれよという間に終わっていくに任せ、テレビばっかり見ている毎日ですが、平成のイケメン史を振り返る企画、最終回・2010年から2018年までの《転換期》の内容だけは華々しくいきましょう。

美少年、美青年、ハンサム、美男子、美形、いい男……などなど見目麗しい男性の呼び名はいろいろある中で、昨今は「イケメン」が最も使いやすいワードとなりました。2010年、7月、韓国ドラマ『美男ですね』(韓国では09年)がテレビ放送され人気を博し、11年には日本でKis-My-Ft2の玉森裕太と藤ヶ谷太輔、Hey! Say! JUMPの八乙女光主演でリメイクもされました。「美男」の読みは「ビナン」や「ビダン」ではなく「イケメン」です。「ビダン」といえば、96年に創刊した「BiDaN」という名の男性美容誌が奇しくも10年3月に休刊していることからも、素敵な男子の呼び名は「美男」から「イケメン」にすっかり塗り替わったのです。まるで戦国時代を経て、豊臣が滅びて徳川になったような感じでしょうか。【黎明期】では素敵なお顔は「しょうゆ顔」とか「ソース顔」とか細分化されていましたが、徳川が天下統一したように、《最盛期》ではまとめて「イケメン」に統一されました。 16年にはホストクラブが「職業、イケメン」というコピーを使い始めます。「イケメン」が職業という開き直り、なかなか秀逸だと感じました。

 

「しょうゆ」でも「ソース」でも「塩」でもなく「イケメン」とひとくくりにされたほうの身になると、それがどんなに「褒め」でもいたたまれない気もしないでもありません。そのため、第2回で触れたように、「イケメン」で片付けられないように【脱イケメン】を図る人物も出てきます。ここでは、【脱イケメン】の潮流と、「イケメン」の新潮流【スイーツ映画系】と【エグザイル系】の3つを主に振り返ってみたいと思います。