こんにちは。編集・川端です。
フィンランド旅のレポートを少しづつアップしますね。「今、ヘルシンキにきています」というInstagramをアップしたら、ミモレの美容コラムでもお馴染みの安倍佐和子さんから「アルヴァ・アアルトは見てきて」とコメントを頂いたんです。おお、それは行かなくては!と。自宅とアトリエが一般公開されているんですね。
フィンランドを代表する建築家アルヴァ・アアルト。今年生誕120年を迎え、日本でも大展覧会などが催されていました。

日本なら「アアルト自邸はこちら⇨(あと00m)」みたいな看板が最寄り駅から至るところにドーンとあるに違いないのですが、フィンランドってば、アアルト邸に限らず、観光スポットへの案内とか看板がほとんどなくて。トラムから降りた乗客も私ひとり。暗くて、人っこひとり歩いていないシーンとした住宅地(これぞ静寂。自分の息しか音がしない世界)を歩きながら、不安、、、不安しかない。この道で本当にあってるのかな〜。誰もいないな〜。 雪も降ってきたよお(涙)

勇気を出して近づいてみると、緑の板にツアー時間、入場料などが書かれていたのです。「字が小っさいわ!!」と思わず日本語でひとりごちましたよね。

勇気を出してドアを開けると、 「今日最後のガイドツアーが始まるから、急いで靴とコートを脱いで中へどうぞ」とお姉さん。ガイドツアーは1時間に1回のペースでやっていて、入場料込みで18ユーロ。予約などは特にいりません。

アアルト自邸の私の一番の印象は「日本の家っぽい」。

アアルトがデザインした世界的に有名な椅子やテーブルがゴロゴロと無造作に置かれていること以外は、巨匠の家を見学させてもらっている緊張感のようなものが全くないんですね。
私は今、マンションに住んでいますが、この先、もし家を建てることがあったら…あるいはリフォームすることがあったら、真似したいなあと思ったポイントがいくつもあったのでご紹介しますね。
●自然光こそ最高の贅沢!
冬の日照時間が非常に短い北欧ならでは、とにかくちょっとでも太陽の光を感じたい!という強い想いが家の随所に感じられます。





●ものを置いて完成する仕切り
建築物としての豪華さはあまりありません。アアルトの名言に「建築における唯一の正しい目標は、自然に建てるということだ。やりすぎてはいけない。正当な理由がない限り何もすべきではない。余分なものはすべて時間とともに醜くなる」というものがあります。


●その部屋の主役にだけ光をあてる
家の中が暗い時間が長いだけに、光の使い方がとても丁寧だと感じました。

アルヴァ・アアルトの代表作に「〈パイミオのサナトリウム〉の病室 」があります。
一見、冷たい病室に見えますが、アアルトの”優しい工夫”がいろいろとあって、彼を一躍有名にした出世作でもあります。病人はベッドに横になっている時間が長いので、天井に照明がないこと、常に頭が涼しく足元があったかいようにラジエーターが作られていること、洗面台の水の音がうるさくないこと、などの配慮がされているそう。
そこで時間を過ごす人が、どんな体勢で、どんな光を目にするのか、どんな音を耳にするのか、それが快か不快か、ということが重要なんですね。
そう考えると、アアルトの家は、照明の位置が高い位置にあったり、胸の高さくらい低い位置にあったり。人がどの高さで過ごすことが多いのか、照明が目に入ったほうがリラックスするのか、入らないほうがいいのか、よく考えられていることに気づきます。よく考えた上で、ものすごく最小限です。
「余分なものはすべて時間とともに醜くなる」とは、厳しくも深いお言葉。インテリア以外のことにも通じそうですね。
もうちょっと案内板は大きく出してくれてもいいのになあと思いつつ(笑)でもそんなスピリットはよく理解できました。
“ほっこりしてない北欧”レポートは続きをまた!
年末は、2018年のベストブックも発表予定です〜。
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