60年代のロンドン。
そう聞いて、マリー・クワントのミニスカート、ヴィダル・サスーンの直線的なボブスタイル、ビートルズやストーンズなどに代表されるロックンロール……そんなUKストリートカルチャー“スウィンギング・ロンドン”を思い浮かべた方も多いのでは? 私はもちろん生まれていないのですが、この時代のカルチャーを掘り下げるのは好きで、触れる度に「タイムスリップできるなら、この時代のロンドンで青春を過ごしたい!」と夢想したものです。
そんな私の頭の中の「LOVE♡スウィンギング・ロンドン」欲を満たしてくれる映画『ロンドンをぶっとばせ! マイ・ジェネレーション』が本日公開しました。
公開にさきがけ行われた一般試写会で、観賞後、本作の字幕監修をつとめたピーター・バラカンさんのトークショーが行われました。60年代のロンドンの話を聞いているはずなのに、なぜか「現代社会で人はどう生きるべきか?」の話を聞いているかのような錯覚に!?
「当時のロンドンは、上流階級、中産階級、労働者階級という身分が明確にされていた階級社会。“イギリス人は口を開けば誰かに嫌われる”と言われるほど、アクセントで階級を判断、それによる差別が横行していた。そこに現れたのがリバプール訛り(当時、訛りがあるのは、ほとんどの場合、労働者階級出身者であるとされていた)のビートルズ!!! イギリスの階級制度がそれにより一気に消えたわけではなく、今でも口を開いた途端に育った環境で判断される場面があると思うけれど、この60年代に社会の様々な既成概念が大きく変わったのは事実」とピーターさんは言います。ちなみに、日本をそれに置き換えると、「出身大学で人を判断しようとすることが似ているかも」と言われていたことも印象的でした。
そして、階級社会に対してのみではなく、退屈と安定を好んだ(と若者からはうつっていた)50年代の親世代へのカウンターとして、60年代のユースカルチャーが爆発したこともヴィヴィッドにあぶりだされていきます。そう、スウィンギング・ロンドンは、階級社会や「大人はエライという保守的な考え方」に対して、労働者階級の若者たちというマイノリティたちが主役に躍り出て下克上をなしえた時代だったのです。
ピーターさんは言います。「劇中のケインが言うように、若さとは年齢ではなく心のあり方。僕だって、自分の頭の中は18歳のままだ、と思っていますから(笑)。とにもかくにも夢は大きく、冒険心をもって!」と。
世界中にはびこっていた既成概念を若者たちがひっくり返した60年代。あれから半世紀。さまざまなハラスメントが問題視され、社会問題が日々噴出しています。
私たちは、再び自分たちを縛る既成概念を自ら瓦解することはできるのでしょうか?
今日のお品書き
「奇をてらわずに、こんなにおしゃれに見えるのが憧れだわ」と誰もがウットリしていしまう、パリコレスナップの常連、フランス版ヴォーグの編集長、エマニュエル・アルト。私もずっと注目しておりました。ジャケット、クロップト丈のパンツ、そしてパンプス……とにかく不変! やっぱりスタイルってこういうことなんだなぁ。
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