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表現者としてさまざまな分野で活躍し、私生活では59歳で結婚と、夏木マリさんの“らしさ”を貫く生き方に憧れる女性は多いはず。セッションでも「自分らしさとは、他人との違いを楽しむこと」と語っていましたが、ではどうすれば他人と比べず、違いを楽しめるようになれるのでしょう?
結婚も仕事も自分らしくありたいと願いながらも、つい焦ったり傷ついたりしてしまう女性たちへ、夏木さんからのアドバイスとは。


結婚ありきの考え方では幸せになれない!

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もともと結婚願望はまったくなかったという夏木さんが、長年のパートナーだった斉藤ノヴさんと結婚したのは59歳の時。価値観が大きく変わるような出来事があったというよりは、あくまで流れのなかでの決意だったといいます。

「彼と一緒に生活するなかで、だんだん向こうの家族のことも見えてきたんですね。高齢な彼のお母さんのお世話をする時に、私が曖昧な立場でいるよりも“嫁”であるほうが、彼のお母さんは安心するだろうと。それで籍を入れたんです」

きっかけは家族への思いやりから。こうして自身が自然の流れで行き着いたからこそ、いわゆる婚活に関しては反対派だとか。

「みんな、結婚そのものにプライオリティを置きすぎよね。そりゃ誰だってひとりでいるのは寂しいですから、結婚自体はいいと思いますよ。でも、もしも結婚に安定を求めているならそれは大間違い。他人と生活を共にするのに安定するわけがない(笑)。人と一緒に暮らすのって本当に大変で、結婚=不安定。だからこそその分の幸せがある、ということなの。

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結婚ありきで考えるから悩んじゃうの。そうではなく、パートナーありきで考えるべき。子どもにこだわらなければ籍を入れなくてもいいんだし、死ぬ時に誰かがそばにいてくれたらそれでいいじゃない? 形式や年齢にとらわれず、いい相手が現れるまで待てばいいと思う。結婚願望がまったくなかった女だってこんな風に変わるんだもの、人生何が起きるかわかんないですよ(笑)」


結婚できなかったんじゃない、しなかっただけ


結婚に対して焦りや不安を感じるのはおもに30〜40代。ですがこの年代こそ、自分が本当に結婚したいのか、周囲に合わせたいだけではないのかを見つめ直す必要があるとか。

「まだ結婚していないのは、できなかったんじゃなくてあなたが選択しなかったからじゃない? 私もよくこの世代から『誰かいい人いませんかね?』なんて言われることがあるけど、こういう人はだいたい口だけね(笑)。人に頼っているうちは本気じゃない証拠、本気だったら自分で探しに行っているはずだもの」

ギクッとした人、多いのでは? さらに夏木さん自身の経験からして、この世代は結婚するには“中途半端”とも。

「結婚って早いか遅いか、な気がするのよ。40代ならバリバリ働いてる頃だし、まだ身体も元気で一人でどこでも行けるでしょ。だったら相手探しに必死になるより、やりたいことをやっておいたほうがいいと思うのね。結婚したら、できないこともいっぱいあります。毎日のごはんさえ好きな時に食べられないんだから。誰かいてくれなきゃと考えるのは、もっと後でもいいんじゃないかしら」


結婚、出産、仕事……女同士の嫉妬とどう付き合う?


さらに悩ましいのは、結婚している人への嫉妬心。頭では分かっているのに、友人の幸せな姿に傷ついたり、そんな自分が嫌になってしまったり。またこれは逆もしかりで、結婚し子育てに専念している人の中には「キャリアを積んでいる人が羨ましい」という人も少なくないはず。ある程度の年齢を重ねるとどうしてもできてしまうこの溝と、私たちはどのように付き合っていけばいいのでしょう?

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「人は、自分にないものを求めるからね。もし、どちらかの結婚をきっかけに疎遠になってしまった友人がいたとして、私だったら無理に仲良くしようとはしないかな。共通言語を持った人同士で集まるのは、ある程度は仕方のないこと。それに寂しさを感じる必要はないんです」

では、自分ではなく相手から嫉妬を向けられてしまう場合はどうでしょう。ストレスを溜めないための対処法とは?

「相手は変えられないんだから、その事実と向き合って自分の対応を変えるしかない。例えば『あなたは自由でいいよね〜』みたいにチクッとすることを言ってくるようなら“あそこでどう返せば笑いにできるか?”と考えてみるのはどうかしら。あまりシリアスになりすぎないことも大事なの。関係が変わってしまったことを悲しむのではなくて、それすらも楽しめる余裕を持てるといいですよね」

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写真/塩谷哲平
文/山崎恵
構成/柳田啓輔