世の中では「どんぶり勘定」というのはあまり良いニュアンスでは使われていません。お金の管理が杜撰(ずさん)で、何に使っているのか把握できていないという意味で用いられることがほとんどでしょう。しかしながら筆者は、お金と上手に付き合うためには、ある程度どんぶり勘定になることが大事だと思っています。もちろん浪費は絶対にいけないことですが、細かく管理したからといってお金が貯まるとは限りません。

お金を貯めるためには、家計簿を付けることが大事とよく言われます。家計簿をしっかり付けることができれば、それに越した事はないのですが、現実にはこれがなかなか重労働です。場合によっては家計簿を付けるだけでヘトヘトになってしまい、その後の事まで気が回らなくなる人もいるのではないでしょうか。いつしかお金を貯めるためではなく、家計簿を付けるために家計簿を付けるという状況になってしまいかねません。

ではお金との付き合い方が上手な人は、これを乗り越えられるほどタフなのでしょうか。おそらく違うと思います。
お金と上手に付き合える人は、細かい家計簿は付けていないかもしれませんが、自分の収入や支出についての全体像をしっかりと把握しています。具体的には、今の自分の年収は? 税金はいくら払っている? 光熱費はいくら? 保険料はいくら? といった質問に対して、おおよその数字ですぐに答えることができるのです。

全体の支出構成が分かっていれば、どこにムダがあるのかについても理解できますから、対策が立てやすくなります。どの支出が節約にとって重要なのかも分かっていますから、日々の生活の中で、過剰に意識することなく支出をコントロールできるでしょう。

一方、家計簿マニアになっている人は、いちいち家計簿を引っ張り出してきて、ひとつひとつ数字を足し上げないと、光熱費がいくらなのか答えることができません。この状況では、自分が何に対していくら使っているのか、常に把握することができませんから、日常的に支出を管理できなくなってしまいます。
週末などにまとめて数字をチェックして対策を立てるのもよいですが、これはこれで結構、疲れてしまいますし、時間がなかったりすると、どうしても後回しになります。

経済的に成功している人の多くが、細かい支出に関してはどんぶり勘定です。しかしながら、何にいくら使っているのかについては、おおまかではありますがしっかり把握しています。こうした管理ができるかどうかが、経済的に成功できるかどうかの別れ道になっていることを忘れないでください。

大雑把でよいので全体を把握するという考え方は、実は仕事の面でも役に立ちます。

 
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