装いがいつも素敵、と私が感じる女性には2つの共通点がある。
まずはやはり、トレンドに流されすぎないその人らしさを装いから感じること。
そして、もしかしたらそれよりも重要かもしれないもう一点は、シチュエーションに合わせた自分の見せ方、服選びが上手であることだ。

パリジェンヌがおしゃれと言われる所以も実はここにあると、私は密かに思っている。

どれだけ素敵な今どきのフォルムだったとしても、例えば分厚いライトグレーのニットを陽が落ちた後の”お出かけ”に着ることはまずない。

夜なら間違いなく、デコルテが綺麗に見えるものやテロリと柔らかな、または少しだけ光沢感のある素材のトップスやワンピース。
それはカジュアルボトムで出かけたい日だとしても変わらない。

極寒のパリでもマダムたちが素敵に映る、冬の装いバランスの極意_img0
昼間はコート姿が着膨れして見えないことを大切にしたい人も多いはず。でも、街中が暗い夜はコートを脱いだ姿がメイン。”厚いカーデなどをコートの中に着込んだとしても一番下は薄手か袖が短めの服がエレガントでこなれた女性の共通点”というのは私の母の教え。

先週もフランスに住む素敵な女性と食事をした際に「そういう服じゃないとパリの素敵な大人のバーには出かけられないよね?」なんていう話題がのぼったばかりだ。

“そんな服、若い時は頑張れたけれど今は無理!”なんていう声が今にも聞こえてきそうだけれど、北海道とほぼ同じ緯度という東京よりも確実に寒いパリで、肌露出の多いものや薄手の服を着られるのは、彼女たちの体温が元々高いから?

いいえ、その秘密は暖かなコート。
特にマダムたちにとって、”中がどんな服でも心配せず任せて”とでも言ってくれそうな、だけど素敵なレストランにも堂々と着ていける心強いコートがあるからこそ、建物の中ではこなれた装いが叶えられるのだ。

ただ、”お出かけ”なのだから、いくら暖かくてもダウンコートではカジュアル過ぎて色気がないと考えると、コートの選び方は意外と難しい。

かくいう私も、暖かくてお出かけにも似合う、というデザインはそう簡単には見つけられず、薄着の日はここ何年もライトグリーンが個性的な、袖が短めで長めの手袋必須なボリュームコート一択から変われずにいた。

そろそろ他のものが欲しいと探し続けて数年。

フェイクファーが素材感も色のバリエも一気に進化した今シーズン、大人の女性が楽しめる素敵なコートが思いがけず何着も目の前に現れ、私はてんやわんやになりながらも満面の笑み。

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今年最も活躍している通称“お布団コート”。フェイクファーな上にシックになり過ぎないネイビーだから昼間の陽の下でもミスマッチ感なし。昼間は暖かくても朝と夜は20度以上気温の下がる年末年始のモロッコも快適に過ごすことができました。先週の極寒パリでは幾度もどこで買ったのかと聞かれたほど。

リアルファーのような豪奢過ぎる雰囲気が程よく緩和されて、私のような派手顔でも場を選ばず着られることも嬉しいばかり。

今年はもっと寒くなることも恐れず、楽しいお出かけがたくさんできそう。
そう思うと、塞ぎ込みがちな得意ではないはずの冬なのに、なんだかワクワクが止まらない。

さて、例えば真冬の夜、気のおけない女友達と食事に出かけるとしたら…
または夜でなくとも、今日は一段と寒いと感じる冬の日にちょっとだけきれいめの場所へお出かけするとしたら…

貴女が今のクローゼットの中から手に取るのはどんな服ですか?
手持ちのコートが心もとないせいで、本当に着たい服を諦め、暖かそうという理由だけで装いを決めてはいませんか?