2018年12月8日、NGT48山口真帆さんの家に男性2人が押しかけるなどしたとして、新潟県警に暴行容疑で逮捕され、その後不起訴処分で釈放された事件。年が明けて1月9日に山口さんがネットで投稿したことから事件が公になったと言います。

 

さぞ怖い思いをしただろうと山口さんの心の傷の回復を祈るとともに、過去にあった歌手として活動していた女子大生がストーカーに刺された事件なども含め、広くアイドルなどのタレントで活動している女の子たちの置かれている環境が心底、心配になります。

もちろん一義的には悪いのは加害者ですが、運営側には彼女たちの安全を守る義務がある。しかし、安全を守るどころか、本人たちを矢面に立たせ、二次被害に合わせていないか。人気商売ゆえに、本人たちも無理を引き受けてしまうのかもしれませんが、過去には地方アイドルが自殺したのちに、事務所側からの暴言が明らかになった件などもありました。

今回、山口さんの件に対して、そうした運営側の問題点を指摘されていたのが、NGTと運営会社が同じAKBグループの指原莉乃さん。さすがのコメント力で1月13日、フジテレビのテレビ番組「ワイドナショー」で意見を述べていました(その後、事務所は正式に謝罪をしました)。しかし、そこで、Twitterなどで共有されていた動画を見て心底唖然としたのが、指原さんが真剣に現状を分析し、訴えているときに、ダウンタウンの松本人志氏が「そこは、お得意の、なんか、身体を使ってなんかするとかさ」と発言していたことです。

あまりのあり得ない発言に、指原さんも、唖然として「何を言ってるんですか」と耳を疑うといった様子で目を見開き、「やば…」とつぶやいていましたが、動画を見た私も唖然として言葉が出てきませんでした。その他の発言にもツッコミどころが多々あったようですが、この発言だけでも一発アウト退場モノではないかと思いました。

 

何が「やばい」かというと、①暴行事件という極めて重いテーマについての話なのに、おちょくることしか考えておらず問題を矮小化させていること、②「体を使って」自体が十分セクハラ発言で、さらに「お得意の」をつけていることで指原さんに対する侮辱でしかないこと。

そして、①と②を統合したここの文脈では、③女性に対する暴行を防ぐための運営方法を考えるべきという話をしているのに、「体を使って」と言うのはむしろ二次的な暴行を助長するような発言で意味不明、というか問題の本質を全く理解していないどころか二次被害の加害者的立場を公に表明してしまっているところ。


こうした、声を上げたり問題点を指摘したりする女性に対するハラスメントを許していたら、ますます女性たちは泣き寝入りになってしまう。ちょうど今日は週刊SPAの「ヤレる女子大学生ランキング」に反対する署名運動が起こした女子大生らが直接出版社との対談まで企画し、謝罪と反省を促すという素晴らしい動きについての報道もありましたが、彼女たちに見習い、こうした一つ一つの言動を私たちは許してはいけない、と思います。

先日、米国ではWHEC-TVというテレビ局の気象予報士が発音した「マーティン・ルーサー・キング」が、黒人に対する差別用語に聞こえたという理由で当該気象予報士が解雇されました。「早口で話しすぎた結果の言い間違いであり、そのように聞こえるとは夢にも思わなかった」と本人が釈明、解雇は行き過ぎではという論争が起こっています。

女性に対する差別発言を、うっかりではなく意図的に、侮辱的に垂れ流す日本のテレビ、大丈夫でしょうか。松本氏の問題発言があった「ワイドナショー」は、生放送なのかと思ったら、まさかの収録。当該箇所をカットしなかった番組関係者に、今一度考え直してほしいです。