あなたは1日に何時間スマホを見ていますか? スマホを見ているときはどういう姿勢をしていますか? 首は前に出ていませんか? 今問題になっている「スマホ首」を防ぐ方法を、整形外科医中村格子先生の新刊『医師が教えるゼロポジ座り』からご紹介します。


腰も首も「ゼロポジション」を意識しよう!


『医師が教えるゼロポジ座り』の中でご紹介している体にいい「究極の座り方」は、股関節を110度に開く座り方です。骨格に負担をかけない状態のことを医学的に「ゼロポジション」と呼んでいて、腰をはじめ体に負担がゼロの座り方を“ゼロポジ座り”と名付けました。

(ゼロポジ座りの座り方は「整形外科が考案。腰が痛まない、疲れない座り方」をご覧ください)

 

腰と同様に、首にもゼロポジションがあります。それは、頭がい骨が正しく頸椎にのっている状態です。

ところが、現代人はスマホを見ている時間が長いため、ほとんどの人が座っているときに背中を丸めて頭を前に突き出したあご出し姿勢になっています。つまり、多くの人が「ダメポジション」になっているということ。いわゆるストレートネックと言われている人もこの部類に入ります。

こうなると重い頭を支えるために頸椎の上部が過剰に緊張し、首の後ろの付け根にある後頭下筋群が緊張してしまい、頭痛や首こり、肩こりなどの症状を招きます。首の後ろ中央のへこんだところ、「ぼんのくぼ」を親指で押してみて少しこりや痛みを感じるようであれば、あなたは後頭下筋群が緊張しています。

頭を突き出した姿勢は歯の噛み合わせにも影響します。食いしばりが強くなり、奥歯が痛んだり欠けたりして虫歯になりやすくなります。またあごを突き出して喉の筋肉が引っ張られることで咀嚼がしにくくなったり、食べ物を飲み込む嚥下機能が低下し、将来的に誤嚥を招く可能性もあります。


“ゼロポジスマホ”で肩こり解消!


頭を突き出した悪い姿勢になる最大の要因はスマホで、首や肩に大きな負担をかけます。これを防ぐスマホの見方が“ゼロポジスマホ”です。

スマホを体に近づけて持つと、頭を前に出して首を倒して見ることになり、首や肩に大きな負荷がかかります。でも、頭をまっすぐに起こして左右の耳に横から串が刺さったように耳の位置は固定したまま、あごを動かせる範囲内で動かして下を向いてみてください。この状態で視線が届く範囲内にスマホの位置をもってくれば首がゼロポジになるので、首や肩に負担がかからないのがわかると思います。

座っているときなら、スマホを太ももの長さの半分と目線を結んだ位置より先にくるように持つくらいが目安です。ストレートネックの予防にもなるので、ぜひ、ゼロポジスマホを心がけてください。

 


正しい首の動かし方“串刺しヘッドノッド”


左右の耳を横から串刺しにしたようなイメージで、耳の位置を固定し、うなずくようにあごを上下に動かす方法は、首や肩に負担がかからない首の動かし方です。これを“串刺しヘッドノッド”と名付けました。
私たちはデスクワークをするときや、本を読むときなど、生活の中で首を前に出す機会がとても多いのですが、串刺しヘッドノッドで首を動かせば、首や肩に負担がかからず、痛みやこりが防げます。下の図のように、壁から頭を離さずに、うなずくように首を動かして、串刺しヘッドノッドの練習をしてみましょう。
この練習をすれば、普段スマホを見るときなど何をするときにも、自然に串刺しヘッドノッドができるようになります。肩こり首こりでお悩みの方はぜひ試してみてください。

 

中村 格子(ナカムラ カクコ)

整形外科医
医学博士・スポーツドクター Dr. KAKUKO スポーツクリニック院長
よこはま健康づくり広報大使
日本体操協会専任メディカルスタッフ(新体操)
横浜市立大学医学部卒業。「健康であることは美しい」をモットーに整形外科医・スポーツドクターとして各種競技の日本代表選手をはじめとしたトップアスリートを支える傍ら、スポーツと医療の架け橋としてより多くの人の健康で美しい人生をサポートすべく自身のクリニックのほか、テレビ・雑誌などのメディアでも多数活動。現役臨床整形外科医として25年以上のキャリアとトップアスリートのコンディショニングの経験から独自のエクササイズを提案。特別な道具やテクニックは一切必要なく、体力に自信がない方や痛みのある方、運動が苦手な方でも安心して取り組んでいただけるエクササイズが特長。また著書『大人のラジオ体操』はシリーズ累計82万部を超えるベスト&ロングセラーとなっている。
•『DVD付き 実はスゴイ!大人のラジオ体操』(講談社)
•『DVD付き もっとスゴイ!大人のラジオ体操』(講談社)
•『DVD付き いきいきシニアの大人のラジオ体操』(講談社)

 

『医師が教えるゼロポジ座り 疲れない、太らない、老けない』
中村 格子 著 1200円(税別) 講談社


体に負担をかけない新しい座り方=“ゼロポジ座り”
“よい座り方”というと、股関節と膝を90度に曲げ、背筋を伸ばした座り方、いわゆる“直角座り”をイメージすると思いますが、実はこの座り方、体幹の筋肉が相当鍛えられていないと、「すぐに疲れる」「続けられない」ものなのです。
整形外科の中村格子先生がおすすめする疲れない座り方は、股関節をやや広い110度程度に開くもの。この角度だと、関節や筋肉に負担がかからない、医学的な“ゼロポジション”となります。
この座り方の新常識、“セロポジ座り”のコツを、本書で詳しくご紹介します。

【ゼロポジ座りをすると】
・腰痛や肩こりが改善
・疲れない体になる
・運動しなくても体が引き締まり、太りにくくなる
・内臓の機能が整う
・心肺機能が高くなる
・集中力がアップする
・自律神経が整い、イライラがなくなる

『医師が教えるゼロポジ座り』のほか、料理、美容・健康、ファッション情報など講談社くらしの本からの記事はこちらからも読むことができます。
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構成/生活文化編集チーム
イラスト/須藤裕子

出典元:https://kurashinohon.jp/953.html

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