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部屋の雰囲気は壁の色で決まる。真っ白を卒業しよう

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今回は、家の雰囲気を大きく変えることのできる“壁”をテーマにお話しします。家の中をイメージしていただけるとすぐわかると思いますが、室内の面積の多くを占め、室内の印象に大きく関わってくるのは、床、そして壁です。

現代日本の家は、「真っ白い壁」がほとんど。部屋が広く見え、どんなインテリアにもなじむという利点はありますが、そこに個性はありません。そして、日本人は自分で壁を塗る習慣があまりありません。本当にもったいない! と思います。

 

こちらはスタジオです。壁の色は黄色にグレーが混じったようなアイボリーです。写真では真っ白に見えるかもしれませんが、一般的なマンションの白い壁に比べるとかなり濃い色でして、選ぶときにちょっと勇気がいりました。でも今では経年変化とともに、落ち着きのあるよい色になってきた気がしています。

壁を塗るというと、「せっかくだから」とインパクトのある色を思い浮かべがちですが、選択肢はいろいろあります。オフィスのような真っ白な壁を落ち着きのあるアイボリーに変えるだけで、部屋の印象はガラリと変わります。いきなり広い部屋で試すのは怖いという方は、部屋のある一面だけとか、トイレだけとか、狭いところから試してみてはいかがでしょうか?

取材協力/ターナー色彩

こちらは、グレー、ベージュ、ネイビー系に塗り分けたパターンです。グレーならばインテリジェントに、ベージュならばあたたかく、ネイビーならばクールな雰囲気に。飾った絵もずいぶん違って見えます。わが家では、娘たちにアルバイトとしてお願いしたりして(長女は私よりも器用なのです)、キッチンの扉なども気軽にペイントしています。
ちなみに、上記の写真は、銀座のインテリアギャラリー、ルカ スカンジナビアさんの壁をお借りして実験してみたものですが、この壁(約3メートルの高さに5メートルほどの幅)を塗るのに、30分もかかりませんでした。
※塗り方の詳細は『行正り香の家作り』で紹介しております。


部屋が広く見える色、明るく見える色、など目的から選ぶこともできますが、なによりも大切なのは、「あなたにとってその色が落ち着けるかどうか」、だと私は思います。あなたにとって居心地のいい色を探してみてください。

※ショールームに行ってみるのもおすすめです。色選びについて教えてくれたり、ペインティングのノウハウを教えてくれたりするレッスンも。

ターナーカラースパイス 色のショールーム
東京都台東区上野5−9−4 2k540 AKI-OKA ARTISAN B−3
tel. 03−3832−5850

カラーワークス パレットショールーム
東京都千代田区東神田1−14−2
tel. 03−3864−0810

PROFILE 行正り香/ゆきまさりか

高校3年時にアメリカに留学し、カリフォルニア大学バークレー校を卒業。CMプロデューサーとして広告代理店で活躍後、料理家になる。ふたりの娘と夫の4人暮らし。『だれか来る日のメニュー』、『19時から作るごはん』『行正り香のインテリア』ほか著書多数。サントリーのハイボールやアメリカンビーフ協会などテレビや広告などの料理も手がける。2018年には子どもから大人まで英語の基礎が学べる「カラオケEnglish」をローンチする。

 

<新刊紹介>
『行正り香の家作り ヒュッゲなインテリア』

オールカラー128ページ 1600円(税抜)/講談社刊
ISBN 978-4-06-513068-1

“心地よくあたたかい空間や時間“という意味のデンマークならではの言葉、ヒュッゲをキーワードに家づくりと暮らし方をデンマーク親善大使(2017年 日本・デンマーク国交樹立150周年)の著者が提案します。


構成/山本忍(講談社)