今回の受賞スピーチの中で、いちばんグッときたのは、ドレイク。「音楽を志す子供たちに伝えたい。俺も仲間も純粋な気持ちで音楽をつくってる。音楽の世界では世間の評価がすべてを決める。NBAの試合のように結果が明白ではない。多くの人に理解されない時もある。(中略)自分の曲を人が歌い、故郷のヒーローになった時点で夢が叶ったんだ。一般の人々が、毎日一生懸命働いて、雨や雪が降る中、ライブを観に来てくれるなら賞をもらわなくても一流だ」。(途中、人種問題に触れるかのような部分があったため、最後は本人の意にそぐわないタイミングでスピーチが切られてしまったようにも見えましたが)今回の極私的スピーチ大賞に!
施設や生活に苦慮している方に寄付していく様子をドキュメントで撮影。それをMVにしたドレイクの『God’s plan』。
今回は、パフォーマンスする楽曲が自身の意向に合わなかったため、出演を辞退したアリアナ・グランデ。その気骨さは天晴! ですが、出られなくて悔しいという思いも当然あったのでしょう、自宅で着用予定だったザック・ポーゼンのドレスを着て自身のinstagramにポスト。
instagramとTwitterに連投。パフォーマンス、観たかった!
BTSが壇上に上がり、プレゼンテーターに。「子供の頃からグラミーは夢の舞台でした。ファンの皆様のおかげでこの舞台に立てています。(受賞する立場、パフォーマンスする立場で)戻ってきます!」とスピーチ。それを会場の客席で見つめていたであろう、嵐のメンバーと山下智久さん。いったい何を感じたのでしょう? 彼らが何を思い、これからどのように共有してくれるのかは、日本の音楽界において、かなり意味をもってくるのではないか、と私は思っています。
昨年、「男だらけのグラミー」との批判を受けたため、今年は「ガールズパワー」炸裂の授賞式になることが予想されており(ちなみに、17ステージで女性が出なかったのは3つだけ!)、本当にその通りの一夜となりました。世間が何を求めているのかを把握し、それをアウトプットするために、よく練られている祭典だな、としみじみと。
音楽のもつ力のひとつは、アーティストの方が時代のムードを敏感に察知し、それをすくい上げ、それを伝播させる力だと思っています。日本の音楽界は、そして、メディアは、はたしてその役目を果たせているのでしょうか? 音楽と政治や社会が不可分であることを、毎年、グラミー賞は教えてくれます。グラミー賞を楽しんだ後に、空気を読みすぎて何も発信できなくなってしまう日本社会の脆弱さを憂い(もちろん自戒をこめて)、社会が蠢き、その中で新しい音楽が生まれ続け、それをセレブレートできるアメリカの逞しさにいつもうならされてしまうのです。
ともあれ、今年も楽しすぎたグラミー賞授賞式! 最後に、極私的殊勲賞を。これは文句なく司会を完遂したアリシア・キーズに決定。司会をして、パフォーマンスをして、出演者を盛り上げて八面六臂の活躍でした (拍手)!!!
今日のお品書き
ライター長谷川さんがドラマ「Mother」について書いてくださいました。韓国版リメイクが話題になりましたが、先んじてトルコでもリメイクされていたとのこと。まったく知りませんでした! 「現代女性の生きる道を導く」というテーマを各国がどうとらえているのか気になります。
Comment