今やすっかり浸透しているランニングブームですが、楽しく走り続けるためには、故障を起こさないことが大前提。走る目的がダイエットだとしても、レースでの記録更新だとしても、膝や腰を痛めてしまっては意味がありません。そのために必要なこととは?
青山学院大学駅伝チームのフィジカルトレーナーを務めるほか、多くの実業団ランナーのパーソナルトレーナーも務め、書籍『みんなのストレッチ』を監修している中野ジェームズ修一さんに、ランナーが意外と知らないというストレッチの常識について聞いてみました。
ストレッチには2種類ある
「走る前の準備運動として、前屈をして太もも裏やふくらはぎを伸ばしたり、両脚を前後に開いて股関節を広げたり、といったストレッチをしているランナーをよく見かけます。けれど、これはランニング前のウォーミングアップとしては適していません」
と中野さん。えっ? 前屈や開脚は間違っているんですか!?
「ストレッチには、大きく分けて“静的ストレッチ”と“動的ストレッチ”があります。一般に“ストレッチ”と言ってみなさんが思い浮かべるのは、開脚や前屈などでしょう。これらは、“静的ストレッチ”といって、筋肉を一定時間じわじわと伸ばすストレッチです」
運動前の筋肉や関節がまだ温まっていない状態なのに、静的ストレッチで無理に伸ばすのはおすすめできないのだとか(静的ストレッチは、お風呂上がりや運動後など、筋肉が温まっている状態で行うのがおすすめ)。
「対して“動的ストレッチ”とは、関節を繰り返しリズミカルに動かし、筋肉を温め、関節可動域を広げて動きをよくしてくれるもの。ランナーが走る前に行ってほしいのは、この動的ストレッチのほうなのです」
走る際に主に酷使するのが、股関節まわりや肩甲骨まわり。ここの血流を動的ストレッチで上げて筋肉を温め、あらかじめ動きをよくしておけば、ランニングのパフォーマンスをアップさせ、故障を防ぐ効果があるそう。
青学駅伝チームもランニングのウォーミングアップに導入しているという動的ストレッチ。その中からひとつをご紹介します。
ランニング前の動的ストレッチ
一方、ランニング後のケアとして行ってほしいのは、静的ストレッチ。その一例として、着地衝撃を受けやすい足裏をケアするストレッチをひとつご紹介。
ランニング後の静的ストレッチ
これらのストレッチの他にも、硬さや不快感が気になる部位・伸ばしたい部位別に、柔軟性のレベルに応じて選べるストレッチが全75ポーズ紹介されているのが、『みんなのストレッチ』。ランニング障害をはじめ、肩凝り、腰痛といった症状別のインデックスがあり、自分に必要なストレッチを見つけやすい。すべてのストレッチに、二次元バーコードからアクセスできる無料動画付き。
・第1回「ストレッチに“脚痩せ効果”あり⁉ トップトレーナー直伝ストレッチ
」はこちら>>
・第3回「会社のデスクで30秒でできる肩凝り・腰痛解消ストレッチ3」は2月25日公開予定です。
中野ジェームズ修一
フィジカルトレーナー/一般社団法人フィジカルトレーナー協会代表理事/米国スポーツ医学会認定エクササイズフィジオリスト(運動生理学士)/アディダス契約アドバイザリー。各種トップアスリートのパーソナルトレーナーを務めるほか、青山学院大学駅伝チームのトレーナーとして指導を行っている。NHK「趣味どきっ!」でストレッチ講座番組を2年連続担当したストレッチの第一人者でもある。