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【模様替えアイディア】壁に飾る絵の見つけ方

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気づけば、わが家は、”壁という壁ほとんどに絵がかかっている“、という家になりました。なぜなら、私にとって絵がない家というのは、ベースメイクだけしっかりして、アイシャドウも口紅もなにもつけずに街に出かけるようなもの。どこか中途半端なのです。

昔の日本家屋には、掛け軸やお花などを飾る場所があり、そこに住む人が「美しい」と感じたものを表現する場所がありました。現代の日本の家では、家を飾ることでそこに住む人の個性を表現するということが、あえて意識しない限りは難しくなってしまったようです。

Before 

 
After

2点の写真をご覧ください。
一方は、「なにもしなかった」部屋です。片方は絵と植物で飾った部屋です(照明も工夫していますが)。同じ場所に同じ家具が置いてあるわけですが、かたやとても殺風景で、この家に住む人の個性は伝わらず、「ポールケアホルムの家具が好きなんだな」ということくらいでしょうか(笑)。
その無個性な部屋に絵を飾るだけで、空間のもたらす雰囲気はこんなにも変わります。絵の中のオレンジと椅子のオレンジが合わさって、なんとも言えないあたたかさが生まれました。

「どんな絵を飾っていいのかわからない」という質問をよく受けます。
家具にモダンなもの、クラシックなもの、エスニックなものと種類があるように、絵にもいろいろなタイプがあります。どんな絵が自分は好きなのか、心地よく思うのかというのは、美術館やギャラリーに足を運んで、たくさんの絵に触れることから始まります。溢れるほどの数の絵から「どの絵なら自分は家に飾りたいか」という意識を持って鑑賞すると、自分の好みが少しずつみえてきます。

ちなみに私は「絵を探そう」と思って絵を買いに行ったことはほとんどないんです。わが家の絵のほとんどが、海外のノミの市やアンティークショップで出会ったもの。私の中で「こういう絵が好き」というイメージが定まっているので、それらの場所で絵に出会ったときに、迷わずこれだと確信できるのです。

絵はまた、「窓」のような役割を果たしてくれることもあります。こちらはまさにそのイメージです。壁に一枚絵がかかっているだけで、その部屋から外への広がりが感じられると思いませんか?

PROFILE 行正り香/ゆきまさりか

高校3年時にアメリカに留学し、カリフォルニア大学バークレー校を卒業。CMプロデューサーとして広告代理店で活躍後、料理家になる。ふたりの娘と夫の4人暮らし。『だれか来る日のメニュー』、『19時から作るごはん』『行正り香のインテリア』ほか著書多数。サントリーのハイボールやアメリカンビーフ協会などテレビや広告などの料理も手がける。2018年には子どもから大人まで英語の基礎が学べる「カラオケEnglish」をローンチする。

 

<新刊紹介>
『行正り香の家作り ヒュッゲなインテリア』

オールカラー128ページ 1600円(税抜)/講談社刊
ISBN 978-4-06-513068-1

“心地よくあたたかい空間や時間“という意味のデンマークならではの言葉、ヒュッゲをキーワードに家づくりと暮らし方をデンマーク親善大使(2017年 日本・デンマーク国交樹立150周年)の著者が提案します。


撮影/青砥茂樹
構成/山本忍(講談社)