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【模様替えアイディア】絵を飾る時の小さなコツ

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前回、ぜひ絵を飾ってみてくださいと皆さんに提案いたしましたが、今回はその絵を縁取り、絵と家とをつなぐ「額装」についてお話いたします。

せっかく絵を買ったものの、
「どんな額にしたらいいのかわからない」
「好きな絵なのに、部屋としっくりこない」
といった声をよく聞きます。

私の場合、買ってきた絵はほとんどすべて、額装し直します。
買ってきたそのままで壁にかけて合う絵というのは、めったにありません。購入時についている額装というのは、どんな部屋にでも合わせやすいように無難なもの(ときに無難すぎるもの)が選ばれていることが多く、そこに個性は表現されていないからです。

私がプロデュースしたステーキレストラン「フードデイズ」の店内です。 この場所の雰囲気と絵の個性に合わせて、さまざまな額装を選びました。

額の種類には、太いもの、細いもの、立体的なもの、プレーンなもの、そしてゴールド、シルバー、木、といった素材もさまざまあります。額と絵の間の余白を作るマットにも、白だけでなくグレー、黒などの色を選ぶことができ、キャンバス地などの素材の選択肢もあります。また、表面のカバーもガラスだけでなく、アクリルをはめることもできれば、それらをあえてなしにすることもできます。

……と聞くと、組み合わせは無限にあるように思えますが、じつは違います。飾る部屋が決まっているのならば、そこに合う色、素材、マットはおのずと決まってくるからです。わが家の実例をご紹介しながら説明いたしましょう。

 

わが家はベージュがキーカラーなので、落ち着いたゴールドやシルバーゴールドが合います。こちらはもともと赤い額装だったところにゴールドを塗り、さらにヤスリを軽くかけて、アンティークっぽさを表現しました。絵自体に赤系の色が使われているので、額のベースの赤い色がところどころ少しだけ見えるのが効果的で、しっくりまとまっています。

 

こちらは、あえて額を使わなかったケース。小ぶりなサイズの絵なのですが、緑色の印象が強いので、壁とのつながりを考えてベージュ色のマットを額に見立てました。通常、額を使わなかったり、表面に何もしなかったりという選択は立体的な絵の場合が多いのですが、そういうセオリー通りじゃなくてもいいという例です。


額装をするときは、「その絵を飾る空間が何を求めているか」と同時に、「絵の中にある額装のヒントを見出す」ことがポイントだと思います。
新刊の『行正り香の家作り』では、絵と額との組み合わせ例のほか、絵のかけ方などもご紹介しています。ぜひご参照くださいませ。

PROFILE 行正り香/ゆきまさりか

高校3年時にアメリカに留学し、カリフォルニア大学バークレー校を卒業。CMプロデューサーとして広告代理店で活躍後、料理家になる。ふたりの娘と夫の4人暮らし。『だれか来る日のメニュー』、『19時から作るごはん』『行正り香のインテリア』ほか著書多数。サントリーのハイボールやアメリカンビーフ協会などテレビや広告などの料理も手がける。2018年には子どもから大人まで英語の基礎が学べる「カラオケEnglish」をローンチする。

 

<新刊紹介>
『行正り香の家作り ヒュッゲなインテリア』

オールカラー128ページ 1600円(税抜)/講談社刊
ISBN 978-4-06-513068-1

“心地よくあたたかい空間や時間“という意味のデンマークならではの言葉、ヒュッゲをキーワードに家づくりと暮らし方をデンマーク親善大使(2017年 日本・デンマーク国交樹立150周年)の著者が提案します。


撮影/青砥茂樹
構成/山本忍(講談社)