ワークショップでは、性教育の「あるある」を染矢さんが斬る!
講演後はA~Dの小グループに分かれて、性教育の「こんな時どうする?」について話し合いました。意見交換の後は、代表者が内容を発表。染矢さんからアドバイスをいただきました。
Aグループ:夫が性教育に消極的、否定的
染矢さんの回答「単に伝え方がわからず消極的になっているなら、書籍を読んでもらったり、保護者向け講座に夫婦で参加してみても。文句を言ってくる場合は、夫のなかに“母親が男性の性に口出しすることへの抵抗感”があるのかも。話し合いをしても平行線なら、別の協力者を探してみて。」
Bグループ:小2の子どもから「赤ちゃんはどうやって産まれるの? と聞かれたら
染矢さんの回答「以前、親が子どもにセックスについて説明している海外の動画を観たのですが、『お父さんとお母さんが一緒にダンスをするんだよ。でもそのダンスは難しいから、大人にならないとできないんだ』と話していて、素敵なぼかし方だなあ(笑)と。子どもが尋ねてくるタイミングは性教育の絶好のチャンスですが、具体的に話すことに抵抗があれば、そんな風に答えを先延ばしするのもひとつの方法。
いざ本当のことを話した後は、子どもがどう受け止めているかを確認しましょう。もしもショックを受けているようなら、『心の準備ができた時にすればいいよ』など、“生物的な情報+気持ちや相手との関係性のこと”をセットで教えることも肝心。」
Cグループ:タブレットの検索履歴にアダルトサイトを見つけたら
染矢さんの回答「親は戸惑いますが、子どもはどういう気持ちで見たのかわかりません。『性に興味を持つのは自然なことだけど、大人向けのサイトということはわかってる?』と尋ねられる関係性を築いておきたいですね。見たことを責めるのではなく『これはフィクションで、現実ではないよ』と伝えることが大事。
Dグループ:子どもに交際相手ができたらコンドームを渡すべき?
染矢さんの回答「『子どもにコンドームを渡した』というケースでは、親子の関係性によって子どもの反応に大きな差が。『セクハラ!』と感じる子もいれば『心配してくれてるんだ』と思う子も。『自分と相手のからだを大事にしてね』とメッセージ性をもって渡すことが大切です。」
性の話をオープンにすることで、親子の信頼関係をより強固に。
この後、みなさんからの質疑応答を終え、染矢さんから再度語られたのは、ご自身が妊娠・中絶をされた際のお母さまとのやり取りのこと。
「大学3年生での中絶は、人生でとても大きな出来事でした。母には、産むかどうか決心がつかない状態で妊娠を告げたのですが『どちらを選んでも、あなたの味方でいるよ』と言われ、すごく心強かったのを覚えています。
これから社会に出て叶えたい夢もあったなか、自分が母親になる姿がどうしても想像できず、中絶を決めました。でも、それはもちろん簡単な決断ではなく、手術後には、再度母にメールをして『自分で決めたことだけど、やっぱりつらい』と…。すると母は『自分でした選択は、その後どれだけ前向きになれたかで、価値が変わるよ。』と言ってくれたのです。その時の気持ちは、現在の活動にも繋がっていますし、自分もそんな風に子どもの幸せを支えられる親になりたい。みなさんとも、ぜひまた一緒に学べる機会があれば嬉しいです。本日はどうもありがとうございました。」
染矢さんの過去に対する真摯な受け止め方とお母さまの懐の深さに、目頭を押さえる参加者も…。
そしてラストは大森編集長からご挨拶。ミモレで性教育を扱うことへの思いを述べました。
「読者の属性を問わないミモレが性教育を扱うのには、ふたつ理由があります。ひとつは、女性の自己肯定感を高めるお手伝いがしたいこと。性はそのことと深く結びついていると思うのです。そしてもうひとつは、社会を変えるには、まずお母さんから変わるのが最速の方法と考えているから。お母さんが変われば子どもが変わり、その子どもたちが日本の未来を変えていく。結局、男性や制度を変えようとするより効率的ではないでしょうか。ミモレでは、今後もポジティブな性教育の場を作っていきたいと思います。本日は、ご参加いただき誠にありがとうございました。」
最後は温かい拍手が会場を包み、第3回目の寄り合いが幕を閉じました。あっという間の約2時間半。参加者のみなさんには、感心したり、どよめいたり、ウルっとしたりと、さまざまな思いを共有していただけたのではないでしょうか?
毎回、熱気を帯びたコミュニケーションが広がる、寄り合いイベント。今後もさまざまなテーマで企画する予定です。みなさまのご応募をお待ちしております!
撮影/ミモレ編集部
取材・文/村上治子
構成/片岡千晶
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