キャリアメイクと「女性ホルモンとどう付き合うか」問題_img0
 

今回は、キャリア形成の上で欠かせない心と体のケアの話をさせてください。

「産後うつですね」。
私がそう産婦人科の先生から言われたのは昨年の秋ごろのことです。
それを聞いたときは「やっぱり……」という納得した気持ちと、「いやいや、私が産後うつになるはずがない」という否定したい気持ち、両方が合わさった不思議な感覚でした。

振り返ってみると30代の半ばを過ぎたころから、生理前後の気持ちのアップダウンに苦しんできました。例えるならジェットコースターにのっているような感じ……とでも言ったらいいでしょうか?

気分が安定しているときは仕事が楽しく、自己効力感に満ちています。人に会うときもいつもワクワク。なんでもできる気がしちゃう。一方で、生理前になるとイライラしたり、自分が周囲から必要とされていないような激しい気持ちの落ち込みがあったり…。前職で記者をしていたときにPMS(月経前症候群)の取材を何度かしたことがあったので、その一種なのだろうなぁとは思っていました。でも、病院に行くほどのことではないと勝手に自己判断していて、診察を受けることはありませんでした。

そんななか39歳で妊娠。妊娠中は妊娠糖尿病や高血圧になってしまい、それはそれで肉体的には(食事制限など)大変だったのですが、気持ちのうえでは安定した10ヵ月を過ごしました。ところが、出産して数ヵ月たつと、また気分の乱高下が戻ってきて…。

我慢しきれず産婦人科に駆け込んだところ、言われたのが冒頭の言葉でした。
何がつらいって、イライラしたり、落ち込んだり、気持ちの上下を繰り返すと、自己肯定感がすりへっていくんです。「あ、またこんなことでイライラしちゃった」「もう私なんて誰からも必要とされてないんじゃないか」……そんなことを感じたり考えたりしている自分そのものが嫌になってくるんですね。

私にとって良かったのは、産婦人科で処方された漢方薬が劇的に効いたこと。
(今は加味逍遙散【かみしょうようさん】という漢方を飲んでます)
正直、「もっと早く飲めばよかった…」と思いましたよ(笑)。こんなに楽になるんだったら。先生のお話では、妊娠中に急増した女性ホルモンが出産後に激減することで心身の不調が引き起こされるとのことでした。


この「女性ホルモンとどう付き合うか問題」は、女性のキャリアにとってもけっこう大きいのではないでしょうか? 晩産化の傾向で私のように40歳前後で出産を経験する方も増えていると思いますし、40代以降は女性ホルモンが減少していく時期でもあります。一方で、仕事のうえでは管理職だったり、組織や部下のマネジメントを経験したりしていく時期でもある。いわゆる踏ん張りどころです。

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自分自身のキャリアを充実したものにしていくためには、心身の状態が健康であることが何より大事。私自身も今回の出来事を通じて痛感しました。

ただ、自分の体のことは後回しにしてしまう女性が多いのも事実。「骨折した」とか「虫歯が痛む」とか目に見える症状があれば別なのですが、今回の私のようなメンタル面の不調って、「単なる生理前のイライラ」として放っておく女性が多いのではないでしょうか?(私もそうでした…)

今回のことを経て私が働く女性にお伝えしたいのは、少しでも気になることがあれば早めに専門機関を受診して適切な処置を受けること。決して自己判断しないこと、です。特にホルモンが引き起こす不調は、自分ではどうにもできないことだから。繰り返しになりますが、私は、もっと早くに病院に行っておけば良かったなぁと何度も思いました、ほんとうに。

そして何より無理しないこと、ですね。人生100年時代。この体と心を私たちは100年使うんですもの。100年使うってすごくないですか? 100年使うものって、なかなか身の回りを見渡してみてもないですよ。それに使うからには当然、メンテナンスが重要。「自分、だいじょうぶかなぁ?」のセルフチェックと、適切なお手入れ。心がけていきたいものです。