女性誌を中心にフードライターとして活躍しつつ、実はフィギュアスケートの記事も担当している齋藤優子さん。羽生結弦選手や小塚崇彦さんにインタビューしたことも! 最近では、坂本花織選手、友野一希選手、世界ジュニア出場の島田高志郎選手など若手にも取材済み。「フィギュアの沼から抜け出せません♡」と語る齋藤さんに、世界選手権の見どころを伺いました。
思い出すのはソチ五輪後の2014年世界選手権
あれから5年、さいたまスーパーアリーナに再び、世界のトップスケーターが集結します。
“あれ”とは、目を閉じれば、数々の名演が鮮やかに蘇ってくる、ソチ五輪直後に行われた2014年の世界フィギュアスケート選手権大会のこと。
この時、トリプルアクセルを決めて優勝した浅田真央選手(SPでは当時の世界最高得点を更新!)も、2位となったロシアのユリア・リプニツカヤ選手もすでに競技から引退。
男子シングル3位のハビエル・フェルナンデス選手は先の欧州選手権でついに競技者を、羽生結弦選手と0.33点差の2位となった町田樹選手にいたっては氷上からも卒業してしまいました。
たかが5年、されど5年。
台乗りを競った選手が軒並み姿を消す中、4位で惜しくも台乗りを逃したロシアのマキシム・コフトゥン選手が復活出場…と思いきや、悲しいことに、直前でなんと不出場の報が!
ロシア選手権で1位になりながらソチ五輪代表に選ばれず、続く平昌五輪でも後輩選手の後塵を拝して出場を逃し、一時は引退も考えたという23歳。もう一度“たまアリ”の舞台に立ってほしかった。
熱望するのは、ミハイル・コリヤダ選手のクリーンな4回転ルッツ!
そんな過酷な競技にあって、5年という歳月を物ともせず、トップで戦い続けているのが羽生選手。
いちばんの話題は、きっと、怪我で今季のグランプリファイナルを欠場したその羽生選手と、昨年大会のワンツー、アメリカのネイサン・チェン選手、宇野昌磨選手との平昌五輪以来の直接対決。
はたまた、そこに韓国のチャ・ジュンファン選手、中国のボーヤン・ジン選手、ロシアのミハイル・コリヤダ選手、アメリカのヴィンセント・ジョウ選手あたりが絡んで繰り広げられそうな男子シングルの台乗り争いでしょう。
でも、戦力分析は門外漢。順位や得点に囚われず、満員の観客に最高の演技を届けたいと無心で滑ることができた選手に、結果がついてきそうな気がします。
個人的に待望しているのは、コリヤダ選手のクリーンな4回転ルッツ。
もうSP(ショートプログラム)とFS(フリースケーティング)2本揃えて、なんて贅沢は言いません。
ルッツ好きとしては、1本でもいいから、肩をグイッと落として跳ぶ、あのキレッキレの1本が観たい。
そして、アメリカのジェイソン・ブラウン選手の4回転ジャンプの成功。こちらも、トゥループでもサルコウでも構わないから、4回転をクリーンに着氷してからのゴージャスなスピンやバレエジャンプを、そろそろ見せてもらいたい。
女子シングル、来季からは騒然な高難度ジャンプ争いへ
来季から壮絶な高難度ジャンプ争いが予想される女子シングルは、坂本花織、紀平梨花、宮原知子の3選手ともに、優勝の可能性あり!
誰が名付けたか、恐ロシア。
4回転ジャンプを4種類プログラムに入れたり、いちばん難しい4回転ルッツからの連続ジャンプを跳ぶロシアのジュニア選手たちは、今季は出場しないし。
かといって、平昌五輪金メダリストのアリーナ・ザギトワ選手、ソフィア・サモドゥロワ選手に次ぐ3人目の代表を、トリプルアクセルを跳ぶエリザベータ・トゥクタミシュワ選手か、平昌五輪銀メダリストのエフゲニア・メドベージェワ選手かで大揉めしていたシニア勢(結果、選ばれたのはメドベージェワ選手)も、調子を落としている。
前回大会で優勝したカナダのケイトリン・オズモンド選手は休養中で、SPとFSで3本のトリプルアクセルを成功させた今季の全米女王にいたっては、世界選手権どころか、世界ジュニアにも出場できない13歳(でも、北京五輪には間に合う)。
今大会で4回転を跳んでくるのは、カザフスタンのエリザヴェート・トゥルシンバエワ選手ぐらい。
アメリカの長洲未来選手も、トゥクタミシュワ選手も出場しないので、トリプルアクセルを跳ぶのも、紀平選手ぐらいか。紀平選手は、SPとFSで3本のトリプルアクセルを決めれば、世界最高得点の可能性もあるかもしれない。しかも、なんといっても地元開催である。日本の3選手には、ぜひとも、攻めの構成で挑んでほしい。
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