この4月からスタートするNHK朝の連続テレビ小説『なつぞら』で、ざっくり言うと“ヒロインの相手役”に抜擢されたのは、メンズノンノモデル出身の俳優、清原翔さん。朝ドラの一方で、この春は2本の映画(『PRINCE OF LEGEND』『うちの執事が言うことには』)の公開に、初主演ドラマ『虫籠の錠前』のオンエアと、出演作品が目白押し! 2019年にブレイク必至との呼び声高い26歳のニューカマーにインタビューを行った。

 

清原翔(きよはら・しょう) 1993年生まれ、神奈川県出身。身長185cm。血液型O型。2013年に『MEN’S NON-NO』(集英社)の専属モデルとなり、2016年より俳優としてのキャリアをスタートさせる。主な出演作は、ドラマ『いつまでも白い羽根』、『深夜のダメ恋図鑑』、『SUITS/スーツ』、『忘却のサチコ』、映画『リベンジgirl』、『PRINCE OF LEGEND』など。今後の作品に、NHK朝の連続テレビ小説『なつぞら』(4/1〜放送)、映画『うちの執事が言うことには』(5月17日公開)、『HiGH&LOW THE WORST』(10月4日公開)がある。


「この俳優さんは誰? 織田裕二に負けてない!!」
海外ドラマ『SUITS』を原作とした、フジテレビの連続ドラマ『SUITS/スーツ』(2018年10〜12月オンエア)の第1話。織田裕二さんが10年ぶりに主演する“月9”枠の最初のシーンを飾ったのは、主演の織田さんではなく、第1話ゲストの清原さん。その後も、織田さんと2人で対峙するシーンなどで引けを取らない存在感を発揮し、筆者は思わず心の中で冒頭の声を上げたのだった。そのことを清原さんに告げると「嬉しいす…!」と照れくさそうに微笑んだ。

「正直な話をすると、もっと出番の少ない役だと聞いていたので、台本を読んだときに『あれ?』『役が違う?』『僕の役のセリフから始まってる!』『織田さんとのシーンが多い!!』と、ちょっとびっくりしました。織田さんとしっかり並びたいというか、爪痕を残したいという思いは強かったかもしれません。もっと緊張するかなと思ったら、織田さんが優しい方で、たくさん話しかけてくださって、やりやすい環境を作ってくださった。本当にありがたい現場でした」

その反響は、それまでに出演したどの作品よりも大きく、「これが月9ってやつか…」と実感させられたという。「こういう場所(ゴールデンタイムのドラマ)に常に出られるようにならないといけないな、という目標ができた一方で、時間帯や規模に関係なく、いろいろな方に作品を見ていただきたいという気持ちも強くなりました」 

大学在学中に「メンズノンノ」の専属モデルになり、2016年から俳優としてのキャリアが始まった。俳優になる足がかりとしてモデルになる人もいるが、清原さんは「ぶっちゃけ、俳優になりたいとは思っていなかったですし、モデルもめちゃめちゃやりたかったかというとわかんないです」と言う。
「大学で理系の学部にいたんですけど、その分野にまったく興味を持てなくて、『このまま就職すると人生マズイぞ』と気付きました。そこで、『卒業までに、少しでも今までの人生で興味をもったことにチャレンジして、無理だったら諦めて就職しよう』と決めて、最初にチャレンジした『メンズノンノ』の専属モデルオーディションで、ラッキーにも拾ってもらえました。そこから就職以外の可能性が広がっていって、役者という選択肢が見えてきた感じです」
もしも『メンズノンノ』に拾われなかった場合の次なるチャレンジ案は考えていなかったという。「海外旅行ですかね。安直な考えですけど、人生を変えたかったので、インドのガンジス川とかに行ってたと思います。で、『すげー楽しかった』で終わってしまってたでしょうね…」

©︎「虫籠の錠前」製作委員会

一発目のチャレンジで人生を変えるチャンスを手に入れた清原さんにとって、『虫籠の錠前』は初めての主演作(鈴木拡樹さんとW主演)となる。彼が演じるナナミは裏社会の仕事の仲介屋&情報屋。偶然出会ったカゴロクとともに、カルト教団の遺した財産を巡る争いに巻き込まれていく。
「主演という肩書がつくからには、面白いものにしたいなと思いましたが、完全オリジナルストーリーなので、キャラクターをイチから作り上げることにプレッシャーはありました。撮影前に、豊島圭介監督と共演者の皆さんとワークショップ的なことをやらせていただいたおかげで、お芝居に対する共通認識みたいなものを持てたのはすごくよかったです。黒田大輔さんと宇野祥平さんコンビのお芝居が本当に面白くて。『やっぱりすげえな』『こういう癖のある役をやってみたいな』『でも自分にできるかといったらまだまだだな』と、思うところがいろいろある作品でした」

豊島監督は清原さんのことを「愛すべきポンコツ」と表現したが、本人は即座に「ポンコツはイヤですよ〜。『愛すべき』だけが残るようになりたいです。このまま60歳とかになったらヤバイんで」と苦笑するあたり、ポンコツの自覚はあるようで。

「自分の考えを言葉で伝えるのが苦手なんです。言葉にしてみてから『俺が思ってることと違うな』と思っても、うまく訂正できない歯がゆさがけっこうあって。向いてないんですよね…(苦笑)。でも、本人がポンコツでも、役がスーパーエリートだったらそう見えるようにがんばります!(笑)」

©︎「虫籠の錠前」製作委員会


現在は「なつぞら」の撮影中。牧場を営む柴田家の長男・照男を演じるために、すでに2回ほど北海道へ長期ロケに行ったという。
「これまでキャラクター要素が強い役が多かったので、今回はリアルな部分が多い作品に携われたことが嬉しいです。お父さん役が藤木直人さん、お母さんが松嶋菜々子さん、おじいちゃんが草刈正雄さんといった錚々たる方たちとのお芝居は楽しいですし、学ぶ部分がたくさんあって、刺激をいただいています」
美男美女のDNAを受け継ぐ照男の性格は、公式サイトによると、真面目で責任感が強く不器用とのこと。このギャップは、お茶の間の婦女子のみならず、オジサマ方もときめかせるに違いない。
「役者業を始めてから、朝ドラは老若男女が見るから、すごく影響力があると知りました。友達もけっこう見てるんですよ。親は、息子の仕事が決まることに慣れ始めてるのか、LINEで報告したときも思ったよりも反応が鈍くてちょっとイラッとしましたけど(笑)。そんなにも注目される作品に出るからには、自分がステップアップしたいなという思いがあります。朝ドラが放送されたら、やりたいことがあるんです。巣鴨に行って、フラッと居酒屋に入りたい。そこで『あれ? 朝ドラの子? 飲みなよ』と奢ってもらうのが夢です(笑)」

これからどんどん忙しく、売れっ子になっていく未来を前に、本人は「ほどよい仕事量である程度の年収をキープするのが目標です(笑)。生活にゆとりはほしいですよね。人間関係を大切にしたいので。あと、極力自宅の近所では顔バレしたくないです(笑)」と現在の心境を明かす。とても正直かつ誠実で、ちょっとだけ脇が甘い?清原翔さんは、たしかに“愛すべき”キャラクターだ。

<ドラマ紹介>
『虫籠の錠前』

©︎「虫籠の錠前」製作委員会

「バッカーノ!」「デュラララ!!」シリーズで知られる小説家、成田良悟が書き下ろしたオリジナルストーリーをドラマ化。かつて存在したカルト教団「むしかごの庭」の謎と財産を巡り、カゴロクとナナミのコンビが、能力者たちや裏社会の人間の抗争に巻き込まれる。カゴロクを鈴木拡樹が、ナナミを清原翔が演じる。
3月22日(金)よりWOWOWにて、毎週金曜日22時より全8話オンエア
※ 第1話は無料放送

原作:成田良悟
監督:豊島圭介
出演:鈴木拡樹、清原翔、宇野祥平、黒田大輔 ほか


取材・文/須永貴子
撮影/衛藤キヨコ
構成/片岡千晶(編集部)

 

 
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