日本の民芸ならまずは〈べにや民芸店〉 / 駒場東大前
次にご紹介するのは日本の民芸品が揃う〈べにや民芸店〉。
渋谷からすぐの駒場東大前駅から歩いて数分、日本民藝館からもほど近くにあります。
民芸店というとなかなか渋いイメージかもしれませんが、こちらはビルの二階にある明るい雰囲気なので、気軽に訪ねて頂けますよ。
店内には衣食住にまつわる日本各地の手仕事が揃っています。
おすすめは頻繁に行われる作家さんや窯元の展覧会。
様々なバリエーションの作品が揃うので、見応えがあります。
手仕事の品は作れる量に限りがあるので、一度にたくさんの品物が見られるのは貴重な機会でもあるんですよ。
会期中は作家さんが在廊されることもあります。お人柄を知ったりものづくりの苦楽を聞いたりしながら、もの選びができるのは、他にはない特別な時間になるはずです。
うつわや鍋敷き、カゴ、郷土玩具など、常設の品物も充実しています。
私が求めた布草履は、山形にて95歳のおばあさんが使わなくなった布切れをひとつひとつ繋いで草履にしたもの。
ぱっと見の可愛らしさもありますが、ものを最後まで大事にするって良いことだなと思わず感じた一品でした。
日本の民芸品は時間をかけて研究と鍛錬を重ねてきたものがたくさん。
つくることに真摯に向き合っている誠実な品物が持つ力を暮らしに取り入れたら、なんとなく自分も頑張ろうと思えるような気がします。
そんな少し背中を押してくれるような力が日本の民芸品にはあるのではないでしょうか。
民芸が気になる方は、背景に流れている思想も少しずつ取り入れていくと益々面白くなるかもしれません。
というのも、私が『民芸ってなんとなく可愛いな』と思っていた頃から、どっぷりハマるきっかけになったのは河井寛次郎の「火の誓い」という本との出合いだったからです。
日本の民芸が生まれた時代と今は状況が少しリンクする部分があって、民芸にまつわる本を読んでいると、自分のモヤモヤにぴったりリンクしていて、助けてもらったこともしばしば。
疲れた心に、きっと民芸は沁み渡ると思います。
そんな民芸の考えに触れてみたいと思ったら、お店の本棚を眺めてみるのも楽しいですよ。
書籍販売はしていませんが、訪れた際に気になった一冊をパラパラ見せていただくのもゆったりと良い時間。
毎年末には各地の注連縄が揃う催しがあるので、ぜひ今からお楽しみに。
〈べにや民芸店〉と日本民藝館をセットで訪れ、民芸の面白さを体感して頂けたら嬉しいです。
掘り起こす楽しみ 世界の民芸〈巧藝舎〉 / 横浜山手
最後にちょっとディープなお店をご紹介します。
横浜山手にひっそりと佇む世界の民芸を取り扱う店〈巧藝舎〉。
あらゆる工芸品が揃い、全国のインテリアショップが仕入れにくることもある、ほんの少し玄人向けのお店です。
古くは民芸運動にも参加していた染色家の芹沢銈介や、プロダクトデザイナーの柳宗理なども足繁く通ったそう。
新旧問わず、ものづくりに携わる人はモノが大好きなんですね。
とはいえ、尻込みする必要はなく、私のように1人でふらりと訪れてもオーナーの小川さんご姉弟が温かく迎え入れてくれます。
もちろんお買い物もできるのですが、普通のお店というよりは、お話を伺いながらじっくりと品物を見せていただく感じのスペース。
どこか実家に戻ってきたかのような安心感がある雰囲気の中、夢中になって話し込んでいたら数時間経っていたということもしばしばです。
小川さんが世界中を自分の足で巡り、独自のルートで手に入れたクラフトは本当に愛らしく、思わず話しかけてしまうようなものばかり。
今では作られていない貴重なものや一点ものもゴロゴロとあり、何度伺っても掘り起こす楽しみがあります。
博物館級の手仕事や絶版になってしまった本などを見せていただくこともできて、クラフト好きには堪らない空気が流れています。
「これは、何だろう?」と思ったらぜひ尋ねてみてくださいね。きっと楽しいお話が伺えます。
私のオススメは世界の布のハギレで作られたポーチ。インドの刺繍やブロックプリント、日本の染色など、沢山のバリエーションがあり、行く度に少しずつ買い集めてきました。
バッグの中に好きなテキスタイルを忍ばせておくのは、自分にしかわからないささやかな楽しみですが、とても嬉しいものです。
ほんの少しの勇気とたっぷりの時間をもってお出かけくださいね。
一度訪れたら民芸品の魅力に夢中になってしまうこと間違いなしです。
今回は “民芸” にまつわる個性の違う3店をご紹介しました。
ぜひ休日のお散歩がてら、遊びに行って頂けたら嬉しいです。
引き続き大好きなお店をご紹介できたらと思います。どうぞお楽しみに。
※「民藝」の文字は固有名詞以外は「民芸」に統一して記載しています。
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