【桜文様】京の花見、私的おすすめ
都の春は長閑。ではなく、とにかく賑やか。京都のひとは「桜の花よりも人の頭の方が多いわ」なんてボヤきつつ、各所の開花のたよりを楽しみにしています。
私が子どもの頃は家族でよく仁和寺の桜を見に出かけました。樹高の低い「御室桜(おむろざくら)」が有名で、子どもの背丈でも花に顔を近づけることができました。香りを嗅いだり、花弁を数えたり。大人の今でも楽しいだろうな……。
御室桜は遅咲きでも有名。4月の中旬、観光の最高潮を過ぎたころに見頃を迎えるので、今から計画しても遅くはない。かも!
京都人の桜の楽しみ方。と言い切ってしまうのは乱暴かもしれませんが、私が「この人は生粋の京都人やな~」と感じている方々は「桜は葉桜が一番いい」とおっしゃいます。種々な意見がありますが「役目を終えて散りゆく花と、生まれくる葉の芽。生と死のコントラストこそが美しい」のだとか。
ふ、深い……!
本当のところは満開の頃は外出を控えたいほどの人出なので、葉が出てきてようやく花を眺める余裕ができる、というのもあるかもしれません。笑
こちらの能衣装で表現されているのも、満開から少し葉が出てきた頃の桜。
桜には五穀豊穣の神が宿っているとされ、桜文様には「豊かさ」や「豊作を祈願する」意味も込められています。
最後にもう一つおすすめを。
上京区の妙顕寺さんでは先週から特別拝観がはじまっています。先日訪れた時はまだ蕾でしたが、境内あちこちに桜の気配が……
じつは今、こちらの「まるごと美術館」という企画にて長艸の作品を展示させていただいています。お立ち寄りの際は桜とともにお楽しみいただけると幸いです。
境内は広く、観光地とも少し離れているので静かで心地良い…満開の頃でも落ち着いて楽しめるのでは。と密かに楽しみにしています。
日蓮宗 大本山 妙顕寺
春の特別拝観「まるごと美術館」
3月23日(土)~4月15日(月)
日中拝観10:00~16:00
夜間拝観18:00~20:00
※展示内容は期間中、変わることがございます。
<5月9日 刊行予定!>
『繡えども繡えども』
著者 長艸敏明
A24判 192ページ/ 講談社
長艸敏明氏は歩さんの義父。刺繡作家、京繡伝統工芸士である氏の作品集が出版されます。着物や帯のほか、季節ごとのしつらえや婚礼衣装などの祝い着、祭事の修復や復元まで京繡の第一人者である著者の“刺繡の力”を堪能できる100点を掲載。
PROFILE 長艸 歩(ながくさ あゆむ)
1987年京都市生まれ。芸術大学にて絵画を学び、卒業後は京都の老舗日本茶メーカーで販売や広報として勤務。結婚、出産を機に夫の家業である「長艸繡巧房」にて伝統的な京都の刺繡「京繡(きょうぬい)」を学びはじめる。 現在は3歳と1歳の女の子を育てながら刺繡の技術の習得と、いままで触れる機会のなかったディープな京都文化の吸収に励んでいます。 Instagram(@sica.seka)でも刺繡や文様のことを発信しています。