私は2013年から、フリーランス女性と企業とをマッチングする人材エージェントを共同経営しています。そもそもこの仕事を始めたのは、自分自身が当時フリーランスとして働いていて、時間・場所の自由度が高く、専門性が生かせる働き方に魅力を感じ、これを一人でも多くの女性に紹介したいと思ったのがきっかけです。組織にとらわれず、自分の名前で自由度高く生きていきたい女性のみなさんを応援したい。時間・場所のコントロールがしやすいので、ワークライフバランスを充実させる助けにもなると思ったのです。

現在、8000名以上のご登録者がいますが、実際そのうちの7~8割はお子さんのいる女性。育児や介護を理由に、ワークライフバランスの取れた生活を求めてフリーランスという道を選ばれる方は少なくありません。

ところが、です。女性が時短やフリーランス等の働き方を選ぶことで、夫が育児や家事、あるいは介護に一層無関心になり、それらの役割がかえって女性側に偏ってしまうことも、実は多いようなのです。

働き方改革を「残業カット」で終わらせないためにできること_img0
 

もともと日本男性は先進国でも「育児・家事をしない」として知られており、実際、総務省のデータによれば、6歳未満児のいる世帯について一日の家事・育児関連時間を見ると夫はわずか67分(妻は7時間41分)。3時間前後の欧米諸国と比べると大きなへだたりがあります。

もちろん、育児・家事が本当に好きでやりたくて…という方はそれでいいと思います。しかし一方で、自分がフレキシブルなワークスタイルを選んだことで、仕事以外のことも全部私がやらなくてはいけなくなってしまった、そんなモヤモヤを抱えている方がいることも事実です。自分ひとりであまりに抱えすぎてしまい、私たちのカウンセラーと話す際に思い余って涙ぐむ方もいらっしゃいます。
これは、私たちにとっても苦しいジレンマです。自分たちがやっていることは、性別役割分業の固定化を助長しているのではないか? そんな疑問さえ湧き上がってきてしまいます。


不都合な点ばかり挙げましたが、とはいえ「働き方改革」は、人生100年時代になくてはならない改革だと私は考えています。長寿化で「働く期間」が長期化する今、大切なのは「持続可能な働き方」。一人ひとりが自分らしく生き生き働き続けるための改革は必要です。

そのためにも、今回の働き方改革が単なる「残業カット」で終わってしまってはもったいないのです。本当の意味で業務の整理・棚卸しをして業務フローを見直したり、必要に応じてフリーランスなどの外部人材も活用したりといったことがもっと推進されるべきでしょう。
またそれによって、女性だけでなく家族全員がチームとして子育てに向き合う、そんな社会になるための改革であってほしいと思っています。

 
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