マウンティングの原理をつまびらかにし、世の女子を虜にしたベストセラー『女子の人間関係』から5年。
精力的に著作活動を続ける精神科医・水島広子さんが、改めて「女性の生きづらさ」を解消するすべを語ります。
年をとることのよい点は、自分に似合うものがよくわかるようになる、ということでもあります。
自分を最も美しく見せるものは何か、ということが、自分の趣味と相性のよい形で、わかるようになってくるのです。それが仮に世間的な流行とは異なっていたとしても、自分にとってはちぐはぐな外見で人と接しなくてすむ、というのは、案外自信をもたらすものです。
あれもこれも試しては、どれも何となく似合わなくて自分が嫌になる、というような若い頃とは違いますね。ワードローブによい意味で統一性が出てきて、整理されてくるように思います。
また、美しさに関して、年を重ねることの利点と言えば、それは「身体によいことと美によいことが同じになる」ということでしょうか。
精神科医としての私の専門の一つは摂食障害ですが、特に日本において、やせていることに価値を置く若い人が多すぎると感じます。そして、「やせている」という結果だけを求めて、決して身体にとって健康ではない習慣を持っている人もいます。ある意味では、摂食障害もその一つの破綻の形です。
アンチエイジングについては、過去に学会誌の編集委員をやっていたこともあり、ある程度の知識がありますが、アンチエイジング的生活は、かなり健康な生活だと言えます。
年をとると、身体によいことと美によいことが同じになるというのは、自分を大切にすることが、自分を美しくすることにもつながるということなのでしょう。
これを逆に言えば、若い頃は、自分を美しくすることと自分を大切にすることが必ずしも一致しないということ。
「人からどう見られるか」を中心に組み立てられる「若い頃の美しさ」は、それ自体が「商品」としての「べき」であって「したい」とは違うのです。
身体によいことと美によいことが同じになる。
これも人生をとてもシンプルで幸せなものにすると思います。
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