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大人の仕事服のカジュアル化、どこまで許せる? 許せない?

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会社員として働いた経験ももつスタイリストの川上さやかさん。それゆえ、リアルな働く女性視点で提案するシンプルなスタイリングがとても人気です。そこで、同じく会社員経験をもち、おしゃれな仕事服は難しいと実感しているファッションエディターの高橋香奈子がスタイリスト川上さんにオファー! 「スタイリストとしてのセンスをもったまま、川上さんがもう一度会社員に戻ったら、どんな服を着る?」というお題に答えてくれることに! 今回から全8回で紹介していきます。第1回の今回は、大人のためのきちんと服とは? なぜ今改めてきちんと服について考える必要があるのかを、元会社員コンビが語ります。


きちんとした装いは相手への気づかい

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ブラウス¥15000/メゾン イエナ(イエナ) その他/スタイリスト私物(ジャケット/オドラント、時計/カルティエ、イヤリング/シャルロットシェネ)

エディター・高橋香奈子(以下、高橋) 今回は私がずっと前からやってみたかった企画を受けてくれて、とってもうれしいです! ありがとうございます。さて、本題に入る前に川上さんのご経歴を改めて紹介しましょう。スタイリストになる前は大手銀行に勤めていたんですよね。

スタイリスト・川上さやか(以下、川上) はい、銀行員として7年間働いていました。当時は制服があった上、今ほど世間的にカジュアルスタイルが認められていなかったですし、上司や先輩の目もあったので、社会人として恥ずかしくないという枠の中で自分らしいおしゃれを楽しんでいました。その後はスタイリストアシスタントを経て、今はフリーランスのスタイリストとして活動しています。高橋さんも以前は会社員だったんですよね?

高橋 そうなんです。ファッション系の会社ではあったのですが、カジュアルな服装とはまったく無縁でしたね。編集の仕事をするようになってからは、洋服にあまり制約がなくなったので自分の好きな服を着ていました。ですが、編集の仕事を始めた20代のころとは変わって、最近はジャケットをよく着るようになりました。キャリアが長くなってきたこと、年齢もアラフォーになり、TPOに応じた装いの大切さを深く感じるようになったんです。たとえば、ブランドさん側から依頼された雑誌のページをつくるお仕事の場合。いくらファッション業界といっても、打ち合わせ時はスーツの方に囲まれることも多いんです。そんなとき、いくらおしゃれだったとしても、編集者がデニムスタイルでは恥ずかしい。この人ならちゃんと仕事をしてくれそう、と思ってもらうことが大事だなと。ずっと会社員をしていたら常々感じる当たり前のことだと思うので、今さら……と言われるかもしれませんが(笑)

川上 いや、とってもわかります!  お金をいただいて働いている以上、たとえばスウェットで仕事に行く、肌の露出の多い格好で打ち合わせをする、というのはおかしいと感じます。“服で仕事ができる人”に見せるということはとても大事なことだと思います。きちんとした服装は、会う相手への大人としての最低限の気づかいでもあると思っています。相手のことを考え、TPOに合い、失礼のない着こなしが必要。だからこそ、流行のファッションをただ追うのではなく、大人としてのきちんと感を保ちつつ、さりげなくおしゃれに見える着こなしを大事にしているんです。


会社員時代にはなかったファッションの視点は、きれい色を仕事服に取り入れること

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高橋 とても共感します! ですが、実際には、“きちんとしているのにおしゃれに見える着こなし”をするのはとっても難しい! だからこそ、そんな軸をもった川上さんに教えてもらいたいと思っています。では、もし川上さんがスタイリストとして磨いてきたセンスを身につけたまま、会社員に戻ったら……、まずはどんな着こなしをしたいですか?

川上 “ビジネスカジュアル”や“オフィスカジュアル”くらいの仕事服を着ると思います。

高橋 “ビジネスカジュアル”? “オフィスカジュアル”?

川上 以前は、たとえばテーラードジャケットに細身のパンツにピンヒールのパンプス、というような隙のないかっちりとしたスタイルが仕事服の定番だったと思います。ですが、今は以前よりもカジュアルという概念がファッションの常識に入ってきているので、ただかっちりしているだけでは、古くさい印象を与えがち。今の時代に沿う抜け感を備えたきちんとスタイルを目ざすのがよいと思います。今っぽさを備えつつも、社外の方と会うシーンにもふさわしいスタイルを“ビジネスカジュアル”社内で働いていて失礼のないスタイルを“オフィスカジュアル”と呼んでいます。

高橋 そうだったんですね。私自身、ジャケットをよく着ますが、ベーシックなアイテムゆえに、選び方や着こなし方次第では、古くさく見えがちで難しいなと感じていました。仕事のシーンでも失礼のない程度の今どき感は必要だったんですね。

川上 大人としての常識をわきまえつつも、今の空気感をまとったジャケットに買い換えたり、着こなし方を更新したりする必要があるんです。

高橋 その塩梅がとっても難しいところですね。では、次回の2回目では、ジャケット再入門!をお題に教えてもらおうと思います。では、最後に質問。会社員だった当時は身につけていなかったけれど、スタイリストを経験したことで新たにお仕事服に取り入れたいテクニックはありますか?

川上 きれい色を取り入れることですね。当時は、お仕事服といえば、使っていいのはベーシックカラー(グレー、ネイビー、ベージュなど)だけだと思っていました。ですが、今会社員に戻ったらきれい色を絶対に取り入れたい。きちんとした服は、デザインがシンプルなのでその中でおしゃれ感を出すのは結構難しい。ですが、色を使えばパッとおしゃれな雰囲気に仕上げることができます。最近は、くすみ系の落ち着いたきれい色も豊富なので、投入しやすいと思います。この短期集中連載のトップ画像として使っている写真のコーディネートも、黒のジャケット×ベージュのパンツととてもシンプル。ですが、インナーをテラコッタ感のあるピンク系のTシャツにしただけで地味に見えないと思いませんか?

高橋 この色の取り入れ方、絶妙ですよね! マネできそうなのもうれしい。残り7回の記事では、川上さんの色の取り入れ方にも注目ですね。

アイコン画像

PROFILE 川上 さやかさん

スタイリスト。大手金融会社のOLからスタイリストに転身した異色の経歴の持ち主。シンプル&ベーシックな中にも上品な女らしさが光る、リアルな通勤コーディネートが人気。身長154㎝。instagram:@sk_120

撮影/目黒智子
スタイリスト・モデル/川上さやか
ヘア&メイク/yumi*
構成/高橋香奈子

 

【トップ画像クレジット】
Tシャツ¥1000/ユニクロ(ユニクロ ユー) パンツ¥19000/デ・プレ その他/スタイリスト私物(ジャケット/オドラント、イヤリング/シャルロットシェネ)

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