不妊治療はどこまでおこなうか、どこで止めるか、その見極めが難しいもの。中には夫婦の意見が合わず、離婚に至ってしまうことも……。広告代理店営業ウーマンの先駆け的存在で、現在はプロデューサー、コメンテーターなど多岐に渡って活動されている飯野晴子さんは、二度の結婚、離婚の経験者。「家族とは何か」という視点から、この問題について一つの考え方を授けてくれています。

はしまき。さんからの質問

Q. 不妊治療を巡って夫と意見が合わなくなり
離婚も考え始めるなど頭の中がぐちゃぐちゃです

 

結婚6年目、共働きの夫婦です。40歳を前に子どもを授かれたらと話し合い、夫婦共に検査をしたところ、夫に精子がなく、「子どもが欲しいのであればAID治療もしくは養子の選択になります」と伝えられました。お互い仕事も忙しく、周囲からはかなり充実した休日も過ごしていると言われる程です。夫は「自分の子どもは諦めるしかないけど、君のDNAを持った子どもを授かれるのであればAID治療しよう」と言ってくれ、こちらが拍子抜けする程でした。お互いの両親の理解も得られ治療をスタートしましたが、40歳という年齢での人工授精は着床率が低く、体外受精をしたくても今の日本のガイドライン上できません。そして、現在東京では実質1軒の病院でしかAID治療を受けることができず、その病院でも1年に2〜3回しか順番が回ってきません。いろいろ調べていたところ、台湾なら国の管轄でのAID治療およびAIDの体外受精を受けることができると聞き、夫に提案をしました。が、これまで協力的だった夫が突如として否定するように。それなら治療を諦めるべきと思う反面、年齢的にもう少しだけあるチャンスを生かしたい気持ちもあります。公私ともに尊敬できるパートナーなので離婚は考えていなかったのですが、離婚も含めて考えたほうが良いのか?など、もう頭の中がぐちゃぐちゃです。唯一の救いは仕事が順調なこと。考えたくなくて仕事に没頭していますが、悪循環な気もしたり。ご意見をよろしくお願いいたします。(40歳)


特別ゲスト 飯野晴子さんの回答

A. 最近はいろいろな家族のカタチを
描いたドラマが増えています。
そういったものを見るのも良いんじゃないでしょうか。


不妊治療というのは大変お辛いとお聞きします。私は子どもがいますので、そのお辛い気持ちが分かるとは決して言えませんが、それによって夫婦仲が悪くなる程でしたら、止めることも検討されたほうが良いのではないかと思うんです。だって離婚なんて、やっぱり悲し過ぎますよ。離婚して一人で生きていく……。その人生を検討するなら、ご主人と二人で歩いて行く人生も考えることができるんじゃないかしら。そしてどうしても子どもが欲しいなら、養子を迎えるなど他の方法を考えてほしい、私はそう思います。

 

私は二度の離婚を経ているのですが、そうして今思うのは、家族の在り方って本当にいろいろだということ。最近はそういった時代背景を反映しているのか、様々な家族のカタチを描いたドラマが増えてきていますよね。私はドラマが好きでいろいろ視聴しているのですが、中でも「これは奥深いな」と印象的だったのが、今年の冬に放送された深田恭子さん主演のドラマ。中学生並みの学力しかない男の子を東大に入れるため奮闘する塾講師を深田さんが演じていたんですけど、実は彼女は東大に落ちた過去があって、それによって彼女のお母さんはおかしくなってしまうんですね。すると、まともだったお父さんもだんだんおかしくなっていく……。はしまき。さんの夫が「もうやめよう」と反対したのは、そういう危機感を覚えたからじゃないかと思うんです。ここで妻にストップをかけなければ家族が壊れるかもしれない、という……。

常磐貴子さん主演の『グッドワイフ』というドラマも、夫婦、そして家族はどこまで分かり合えているのか、ということを描いていた奥深いドラマでした。さらに興味深かったのは、そのドラマには小泉孝太郎さんも出ていたこと。思えば彼の家庭も父子家庭で、叔母が母親変わりになって彼と弟を育てていたという、“いろいろな家族のカタチ”の一つです。だから是非一度、そういった視点で世の中の家族というものを見直してみて。「いろんな家族のカタチがあるんだな」という気づきを得られれば、考え方にも変化が出てくるんじゃないかと思うのですよ。

もちろん子どもを諦めるというのは簡単なことではないと思います。でも私は、男女が出会って夫婦になるって奇跡的なことだと思うし、その二人の間に新しい命が産まれるってもっと奇跡だと思うの。そんなふうに広く考えてみたら、どこまで行動してどこで止めるべきか、自ずと答えも見えてくるんじゃないでしょうか。
 

PROFILE
  • 飯野晴子(いいのはるこ)プロデューサー、コメンテーター、ブロガー。1943年生まれ。35歳で離婚後初めて就職。広告代理店営業ウーマンに道を開いた。ロエベ、フェラガモ、ポルシェ等数々のラグジュアリーブランドを担当。退職後は、都会と海辺の家を行ったり来たりしながら、企業や商品のPRプロデュース、TV番組の出演、セミナー講師、講演活動などさまざまな分野で活動中。アメーバブログでは、文化人部門で常に上位50位前後に位置するなど、ブロガーとしての人気も高い。また、ブログ読者の悩み相談を受けることから始まったワークショップは、週末を過ごす家で定期的に開催、全国から女性が参加し人気を博す。「チーム・ソルトン&セサミ」(2008年〜)の設立メンバーとしてチャリティ活動も積極的に行っている。(ブログはコチラ→http://ameblo.jp/iino-haruko/ この人の回答一覧を見る
  • 山本奈緒子(やまもとなおこ)1972年生まれ。6年間の会社員生活を経て、フリーライターに。『with』や『VOCE』といった女性誌の他、週刊誌や新聞、WEBマガジンで、インタビュー、女性の生き方、また様々な流行事象分析など、主に“読み物”と言われる分野の記事を手掛ける。 この人の回答一覧を見る
 取材・文/山本奈緒子

 

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