母親とのコミュニケーションは問題ないのだけれど、父親とは何を話していいのか分からない……、そんな人は多いのではないでしょうか。でももし母親が先立ち、父親だけが残されてしまったら……? 広告代理店営業ウーマンの先駆け的存在で、現在はプロデューサー、コメンテーターなど多岐に渡って活動されている飯野晴子さんは、今年で76歳を迎えます。同じ世代ならではの視点で語ってくれた、一人残された高齢の父親の心理とは……?

きょういちさんからの質問

Q. 一人残された父が
私の言うことに聞く耳を持ってくれません。

 

42歳、独身です(訳あって働いていません、精神科のデイケアに通っています)。父のことで悩んでいます。母を8年前に亡くし、父は80歳で一人暮らしをしています。友達もいなくて、毎日一人きりで過ごしているようです。私が父の家に行くと絶対に体調不良を訴えてきます。私としては、高齢者の方々の集まりみたいなところに参加してほしいし、きちんと健診を受けてほしいのですが(父は診てもらっているみたいなのですが)、聞く耳を持ってくれません。地域包括センターに行ったり、高齢者ホットラインに相談したり‥‥‥。父は短気ですぐキレるので、私は父の機嫌を損ねないように話すため、すごく疲れてイライラしてしまいます。どうしたらいいでしょうか?(42歳)


特別ゲスト 飯野晴子さんの回答

A. 歳をとるとつまらないことで
腹が立ったり落ち込んだりするんです。
きっとお父様も同じ気持ちじゃないでしょうか。


お父様が一人残され、きょういちさんご自身もメンタルの問題を抱えていらっしゃるのですね。大変な状況と推察いたします。

私もお父様の年齢と近く、今年で76歳になるのですね。私はどちらかというと大雑把でクヨクヨしない性格なんですけど、そんな私ですら70歳を過ぎた頃からつまらないことで腹が立ったり落ち込んだりする、ということが増えてきたのですよ。それはたとえば、ガサツでパパッと行動したい性格なのに(笑)、腰を悪くしたことから、物を取るときはゆっくり屈んで取らなければいけなくなってもどかしいとか、脚を真っ直ぐ伸ばすと膝にたるみが出て「私の脚ってこんなになってしまったの!?」とショックを受けるとか。もう、そんな毎日の積み重ね。もちろん人にもよると思いますけど、高齢になると男も女も、大なり小なりそういう何ともストレスフルな毎日を送っているんじゃないかしら。ましてやきょういちさんのお父様は、お母様に先立たれて、寂しさからも自分の感情を持て余しているのではないかと思います。

 

だから、できる限りで良いのでお父様のもとを訪問して労ってあげてほしいと思うんです。お父様が嫌がるような態度をとるとのですけど、子どもが心配して会いに来てくれたり、いろいろと言ってくれることは、本当は嬉しいはず。私もね、先日娘が出張に行く前、「お母さん、私がいない間、お餅を食べないでね」なんて言ったんですよ。「あら、のどに詰めたりしないわ!」と言い返したんだけど、私のことを考えてくれているのだと思うと、内心は悪い気持ちはしていませんでした。

一方でね、娘に言ったら怒られると思って黙っていることもあって。というのも最近、銀行にキャッシュカードを置き忘れてしまって、取り戻すのに一苦労したんです。それも、2回立て続けにやったの。そんなことが次々起こってくると、「こんなこともできなくなっているのか」と自分のプライドがとても傷つけられるのね。だから強がって怒ったりする。お父さんが怒りっぽくなったのも、そういう心理があるのかもしれません。

きょういちさんも、ご自身のメンタルの問題を抱えていて大変だと思うけれど、そういうお父様の気持ちを想像して、根気強く要望を聞いてケアしてあげて。お父様にお友達がいないなら、アナタがお友達になってあげてほしいの。そうすれば、時間は少しかかるかもしれないけれど、きっとお父様との関係は少しずつ良くなっていくと思いますから。
 

PROFILE
  • 飯野晴子(いいのはるこ)プロデューサー、コメンテーター、ブロガー。1943年生まれ。35歳で離婚後初めて就職。広告代理店営業ウーマンに道を開いた。ロエベ、フェラガモ、ポルシェ等数々のラグジュアリーブランドを担当。退職後は、都会と海辺の家を行ったり来たりしながら、企業や商品のPRプロデュース、TV番組の出演、セミナー講師、講演活動などさまざまな分野で活動中。アメーバブログでは、文化人部門で常に上位50位前後に位置するなど、ブロガーとしての人気も高い。また、ブログ読者の悩み相談を受けることから始まったワークショップは、週末を過ごす家で定期的に開催、全国から女性が参加し人気を博す。「チーム・ソルトン&セサミ」(2008年〜)の設立メンバーとしてチャリティ活動も積極的に行っている。(ブログはコチラ→http://ameblo.jp/iino-haruko/ この人の回答一覧を見る
  • 山本奈緒子(やまもとなおこ)1972年生まれ。6年間の会社員生活を経て、フリーライターに。『with』や『VOCE』といった女性誌の他、週刊誌や新聞、WEBマガジンで、インタビュー、女性の生き方、また様々な流行事象分析など、主に“読み物”と言われる分野の記事を手掛ける。 この人の回答一覧を見る
 取材・文/山本奈緒子

 

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