フードジャーナリストの小松宏子さんが、最新の食のトレンドを紹介します。

日本酒がおじさんの飲み物というのは、遥か彼方、昭和の話です。新世代の造り手の努力もあって、驚くほど美味しくなった日本酒は、フレンチレストランのペアリングで出されたり、パリやNYに日本酒バーができたりと、今やインターナショナルな美酒なのです。日本でも日本酒バルや、おしゃれ居酒屋など、訪ねてみたい素敵な酒どころがたくさんできています。

そこで今回は女性がキーワードの日本酒スポットを2軒、ご紹介したいと思います。

①「長谷川栄雅 六本木」


昨年12月に六本木にオープンした「長谷川栄雅 六本木」。姫路で350年の歴史を誇るヤヱガキ酒造のトップライン「長谷川栄雅」の路面店であると同時に、その端正な世界観を体感できるスペースです。
名門蔵元が技の限りを尽くし、採算を度外視して造り出した最高級の日本酒。その驚くほど瑞々しく、かつふくよかな味わいは、もろみから酒を搾るときにまったく重力をかけない、袋搾りだから実現できたのだそう。
茶室を思わせる凜とした空間では、大吟醸から純米までの5種のお酒に合わせて、今をときめく気鋭のシェフがクリエイトした“ate”、つまりおつまみをマリアージュさせながら楽しむことができます。

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4月~6月の3カ月の“ate”を担当するのは庄司夏子さん。住所非公開、1日1組限定の完全紹介制レストランを主催する期待の女性シェフです。一口サイズのセンスのいいお料理は、その美しさに見とれてしまうほど。

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「ホワイトアスパラガスのお浸し、季節の柑橘」、「ウドのピクルス、春の香り」「塩漬け卵黄の酒粕漬け」「菜の花と蕗の薹のタルト」「酒香るガナッシュ 求肥」

もちろんお味のほうも各別で、長谷川栄雅と合わせると、「日本酒ってこんなにエレガントだったの♡」と驚くばかりです。利用法は1組4名までの完全予約の入れ替え制。40分で¥5000ですから、むしろリーズナブル。アフタヌーンティーがわりの利用もありだし、お食事前のアペリティフにもいい。海外の方に日本酒の世界観を体感してもらうのに、最高のスペースです。

長谷川栄雅 六本木
東京都港区六本木7-6-20 1F
03-6804-1528
営:12時~20時 休:火曜
1組4名まで、1日5組限定 所用時間約40分
1人¥5000
 

②「GEM by moto」


もう1店は恵比寿から徒歩10分弱の静かなエリアに4年前にオープンした日本酒バー「GEM by moto」。店主の千葉麻里絵さんは、日本酒業界のジャンヌダルクと言われる注目の女性。足で蔵元を回り、酒造りを見、飲んで納得したお酒したお客さまのグラスにはつがないというほどの徹底ぶり。日本酒愛にあふれているのです。
回った蔵元は200を超え、なかにはGEMにしかおろさないという秘蔵の品も。

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スタッフも、麻里絵さんに憧れて入店したという人ばかりで、日本酒の知識は確か。だから、こんなものが飲みたいと言えば、必ずぴたりと気分に合った日本酒を選んでくれます。
そのうえ、黒板にかかれたつまみは、「いちじくがっこチーズ」、「山椒キャベツのとろとろ玉子サンド」、「海老パクチー餃子」、「苺と春菊の白あえ」、「しらすのカッペリーニ」、「ブルーチーズハムかつ」など、どれも食べてみたくてあれこれ悩んでしまうような洒落たものばかり。

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日本酒を一口、つまみを一口、日本酒を一口…、うーん、知らなかった日本酒の魅力に引き込まれていくようです。
そして、この4月27日から、「カンパイ!日本酒に恋した女たち」という、かつては女人禁制だった日本酒の世界に果敢に挑む女性3人を描いた映画が上映されます。広島で百年以上続く酒蔵を継いだ女性杜氏、日本酒の魅力を世界へ発信するニュージーランド出身の日本酒コンサルタント、そして千葉麻里絵さんの3人! 日本酒の未来は明るいのです!

GEM by moto
東京都渋谷区恵比寿1-30-9
03-6455-6998
営:[火~金] 17:00~24:00 [土・日・祝] 13:00~21:00
休:月曜