北品川にある老舗の「丸屋履物店」の続き……
友達の買い物に付き合うだけのつもりで、どこかぼんやりした気持ちで店内を眺めておりました。この日はひっきりなしにお客さんがやってきて、店内は超混雑。そのなかのひと組、和服姿の素敵なカップルが女将さんに「前壷(まえつぼ)を替えてください」とひと言。私たち全員の耳はダンボ状態に! その瞬間、私のヤル気スイッチが入ってしまいました。

台に花緒をのせて、選ぶのはとても楽しいのですが、正直、台・花緒・前壷(まえつぼ)の色合いがしっくりこなくて悩みまくることもしばしば。特に前壷(まえつぼ)の色って思っている以上に目立ちます。“赤い前壷(まえつぼ)”にこだわる京都の高級履物店もあるけれど、真っ赤が苦手な私には、前壷(まえつぼ)を好きな色に替えられるなら、選択肢はぐっと広がります。

「前壷(まえつぼ)って、替えられるのですか? おいくらになりますか?」

「サービスなので、無料ですよ」

なんてイイお店なのでしょうか(泣)。さまざまな素材、色の前壷(まえつぼ)を奥から持って来て、見せてくれました。ビロードもあれば、エナメルもあります。じつは、この前壷(まえつぼ)の交換、結構な手間が掛かるのでHPでは特に紹介していないそう。でも、こだわりのお客さんが多い「丸屋履物店」ならではの嬉しいサービスだと思いました。

花緒と前壷(まえつぼ)。人気の花緒はすぐに売り切れてしまうので、まさに出会いモノ。友達はお気に入りの花緒だけをひとまず持ち帰りました。

さて、打って変わって前のめりで台を物色。小千谷縮に合わせたくて、胡麻竹のライン入り塗り下駄はすんなり決めて、黒塗りか紅溜塗りで迷いつつ、夏にぴったりのシナ布の花緒にしました。前壷(まえつぼ)はもともとのベージュでも良かったのですが、ちょっとアクセントにしたくて大好きな緑系に。一度、試し履きしてから、すげてもらって完成です。100%満足♥ 惚れ惚れするぐらい素敵だわぁ。

 
前壷(まえつぼ)は女将さんが替えてくれて、花緒をすげてくれるのは息子さん。「シナ布の花緒はなかなか入らないから、いいのを選びましたね」と言われてかなり喜ぶ私。
 
できあがりました♥ どうよ、かなり素敵だーーーー。早く7月にならないかしら。わくわく。

さて、友達が試し履き&歩き方指導を受けている間、斜め向かいの店をちらっと拝見。「ギャラリー麻の葉」は、古布を使った小物や洋服、骨董の器が所狭しと並ぶ、味なお店です。オーナーはここで金継ぎ教室(きんつぎきょうしつ)も開催。「いろいろな方法、簡単に扱える新素材もあるけれど、本来の、本物の金継ぎ方法をまずはマスターしてほしいんです」とオーナー。

  • 3回目の訪問にして、初めて気づいた斜めお向かいの「ギャラリー麻の葉」。素敵な骨董の皿や山葡萄のかご、アタバッグもありました。
  • オーナーの金継ぎ作品。
  • 店の中には本格的な金継ぎには欠かせない室(むろ)もありました。

近々、アメリカで金継ぎのデモンストレーションをするそう。古いものを大切にして、美しく再生する金継ぎは、アメリカ人にも人気が出るのでは? オーナーの金継ぎ作品をいくつか見せてもらいながら、またしても運命の出会いがありました♥ 可愛い柄の古伊万里の半筒を2個、お持ち帰りすることに。昔はこれで、お酒を飲んだそうです。時々はお酒、たいていは甘味を入れて、使おうと思います。

 
可愛い柄の半筒は、店にあった2個を持ち帰りました。どんな人が使っていたのかなぁ?酒豪??
 
私は大ザルに見えますが、ちょびっとしか飲めません(本当です)