とりわけ私は現クリエイティブ・ディレクターのマリア・グラツィア・キウリのコーナーに引き付けられました。ピエールパオロ・ピッチョーリと組んでヴァレンティノを再浮上させた彼女。ディオールにとっては初の女性クリエイティブ・ディレクターとしてもニュースになりました。彼女がデビューコレクションで打ち出したのは「現代の女性における新たなフェミニズム」(詳しくは、現代のフェミニストに捧ぐ、リアリティワードローブをご参照ください)。
WE SHOULD ALL BE FEMINIST.
というメッセージTシャツも話題になりました。
ファーストコレクションはまさに女性の、女性による、女性のためのショーでした。その証拠に公式インスタグラムでは、お針子さんからショー会場の建設スタッフまで、職種や年代を超え、たくさんの女性たちが撮影され、投稿されました。その際のハッシュタグは「#THEWOMENBEHINDMYDRESS」!
THE WOMEN BEHIND MY DRESS
そして、子供の頃の人形遊びを思い出してしまった、宝箱のような「Diorama」。ジオラマ……満を持してのダジャレかな(笑)!?
そして、最後の現れるスペースは「Ball Room」!! フォーマルなイブニングドレスの展示の天井には流れ星がキラリ。この夢のような空間とさよならすることが名残り惜しい方たちが、長い間、椅子に座って天井を見上げている姿が印象的でした。
たくさんのセレブリティに愛されてきたディオール。「Ball Room」の一画には、エマ・ワトソンやシャーリズ・セロンなどがレッドカーペットで着用したドレスの展示もありました。
最後は、ムッシュ時代の扇子をもった、現クリエイティブ・ディレクターのマリア・グラツィア・キウリがデザインしたドレス(センスに描かれたChirstion Diorの文字がプリントされています)でフィニッシュ! 新旧のバトンパスを1体で表現した、締めにふさわしい展示だな、と思いました。
いようとしたら1日中でも楽しめてしまう大充実の展覧会。ムッシュのフィロソフィーがもちろん基軸にはなっているのですが、デザイナー7名分すべてのコレクションを解体し、「ハウス オブ ディオール」のこれまでを大胆に編集した構成力にうならされるばかり!
情報の断片をつないで再構築し、その束にメッセージをこめて発信するという編集者としての自分の仕事の本分を見直す良い機会となりました。
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