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「夜の外出」に映える、 極鮫小紋と小物使い【着物で5日間】

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京都の禅寺にて生まれ育ち、着物を日常着とする伊藤仁美さん。
着物の礼節を重んじつつ、ファッションとしての着こなしも存分に楽しんでいます。面白いのは着物や帯、小物選びだけでなく着こなしにも理由があること。誰に会うのか、どこへ行くのか。時間は、季節は——。彼女の着物セオリーには、洋服にも取り入れられる“セルフプロデュース”のヒントがたくさん潜んでいます。
 

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41歳/着物家/163cm

「昨年子どもが生まれてからは夫婦での夜の外出が難しくなりました。でも滅多にないからこそ大切にしたい時間です。

まず着物はグラデーション染めの極鮫小紋(ごくさめこもん。一見無地のように見えますが、近くで見ると細かな点が鮫の鱗のようになっている型染めの着物。一般的な小紋よりも格の高い着物なので、紋が付いているとフォーマルな場でも着ることができます)。深みのある落ち着いた色にして、口紅はいつもよりも赤い色に。顔を見て話をして欲しいと思ったので、着物ではなくメイクにアクセントを持ってきています。

夫婦の時間を楽しみたいという、私から彼への密かなメッセージです。着物はこうして会う人や行く場所に想いを寄せるコーディネートができるというのも魅力のひとつかなと思います」(伊藤さん)
 

辺りが暗くなったころ、女性を美しく見せる「白と光」

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「夜のお出かけには暗闇にも上品に映える着こなしをします。そこに欠かせないのが“白と光”です。今回は半衿や足袋の他に、帯揚げや帯締めにも白を取り入れ、さらに光沢のあるクラッチバッグを合わせました。せっかくおしゃれをして出かけたのに、夜の闇に沈んでしまってはもったいないですからね。

また、衿の合わせる場所をいつもよりほんの少し下げた場所にしたり、衣紋の抜き方(衿の後ろを下に引いて抜くこと)は丸みを帯びた曲線にするなどして女性らしさを表現しました」(伊藤さん)
 


「あれ」と思わせる、右と左で違う顔

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「ヘアスタイルは横でラフな三つ編みをし、衿足のあたりで丸めてピンで留めただけのアシンメトリーなアップスタイルです。右と左で異なる表情を作って少しでも意外性を出せたらと。

また、着物を着たときのヘアスタイルに迷うとよく聞きます。これは5分もかからない簡単なアレンジですよ」
 

撮影/目黒智子
スタイリング・モデル/伊藤仁美
取材・文/笹本絵里
構成/川良咲子(編集部)

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西陣織の袋帯#小田章
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HITOMI ITO

伊藤仁美。京都祇園の禅寺に生まれ、和の空間に囲まれて育つ。2015年より活動の拠点を東京に移し、着付けサロン「enso」をオープン。同時に着物暮らしを始める。国内外にて講演やセミナー、イベント出演や、雑誌・広告などで着付やスタイリング、そしてモデルとしても活躍中。アート作品にも多数参加、海外メディアにも取り上げられる。現在は一児の母として、着物で過ごす日々にある豊かさも発信中。また、令和元年5月1日に「enso japan」プロジェクトが始動。第一弾としてニューバランスとコラボレートしたムービーが同日に配信された。http://www.hitomi-ito.com