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【米倉涼子の新作映画レビュー】妻で母。85歳の最高裁女性判事に勇気をもらえるドキュメンタリー_img0
『RBG 最強の85才』 © Cable News Network. All rights reserved.

生きる場所や活躍するジャンルに関わらず、“一番の人”の人生に触れることは自分の力になるんだな、とあらためて感じたドキュメンタリーを紹介したいと思います。
『RBG 最強の85才』の主人公はアメリカの最高裁判所判事、ルース・ベイダー・ギンズバーグ。ブルックリンの豊かではないユダヤの家系に生まれたひとりの女性が、ずっと学び続け、戦い続けている姿が描き出されています。学生結婚をした彼女は、夫のがんの闘病を支え、子育てもしながら勉学に励み、ロースクールをトップで卒業したものすごいパワーの持ち主! 
今よりもずっと女性が社会の一線で活躍することが難しかった時代に、妻でもあり母でもある人がこれほどまでに奮闘したという事実に、時代を超えて驚かされました。

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この作品には彼女がこれまで男女平等のために戦った裁判のことも、わかりやすく描かれています。
そのひとつひとつを見ながら感じたのは、こういう女性がアメリカで歩んできた軌跡があるからこそ、今のように女性が強い時代が訪れたんだなということ。まさに彼女は今のムーブメントのパイオニアなんですね。
男性社会のなかで納得できない経験をいくつも重ねがらも、「怒りに流されない」というモットーを語っていて、ドキッとさせられました。そんなルースが怒ったのはトランプ大統領という事実も、現代のアメリカ社会の問題を伝えてくれます。

その業績からものすごい気の強い人なのかと思いきや、周りの人たちはみんな彼女のことをとても控えめな女性だと語っているのも興味深かった。
対照的に夫は明るくて冗談好き、同じ法の世界に生きる人間として仕事への理解もあって、家事育児も当たり前のようにサポートする……、なんて理想的な夫婦! 
きっと夫の存在もルースを強くしたんでしょうね。

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弱者に寄り添う姿勢はずっと変わらず、今も信念を貫き通して現役で活躍しているルース。彼女の日常生活も映し出されるのですが、ジムでワークアウトしているパワフルさにもびっくり! 
SUPER DIVAと書かれたTシャツを着ているのを見ると、結構ジョーク好きな人なのかも(笑)。法廷では男性のネクタイにかわるアイテムとして華やかなカラー(襟)をつけるなど、機能的なおしゃれなファッションも素敵なんですよ。
ブロードウェイで『シカゴ』の舞台に立つ前にこの映画に出会えたことで、勇気をもらいました。アメリカではTシャツやマグカップなどのグッズも人気だそうなので、渡米したときに探してみようと思っています。

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『RBG 最強の85才』

1933年ニューヨーク、ブルックリンで生まれたルース・ベイダー・ギンズバーグ。通称RBG。若き弁護士時代から一貫して女性やマイノリティの権利発展に努めてきた彼女は、1993年にビル・クリントン大統領に女性として史上2人目となる最高裁判事に指名される。以降も男子大学の女性排除、男女の賃金差別、投票法の撤廃などに、弁護士時代と変わらぬ視点から、法の下の平等の実現に向けて果敢に切り込んでゆく。若者を中心に絶大な支持を得る「RBG」はいかにして誕生したのか?彼女を良く知る家族、友人、同僚が母として、友人として、働く女性としてのルースの知られざる素顔を語り、彼女を支え続けた夫、マーティンとの愛溢れるエピソードも描かれる、全米大ヒットのドキュメンタリー。 第91回アカデミー賞長編ドキュメンタリー賞&歌曲賞の2部門にノミネート。

監督・製作:ジュリー・コーエン、ベッツィ・ウェスト
出演:ルース・ベイダー・ギンズバーグ、ビル・クリントン、バラク・オバマ
主題歌:「I’ll Fight」ジェニファー・ハドソン
2018/アメリカ/カラー/英語/98分 原題:RBG 映倫:G
配給:ファインフィルムズ © Cable News Network. All rights reserved.