先週、家に携帯を置いたまま、出社してしまいました。
それに気がついたのは最寄り駅の改札を通る直前。急ぎのアポイントがあるわけでもなかったので、徒歩で往復10分強にある家に取りに帰っても良かったのですが、「今日は会社でデスクワークするだけでから連絡はつくわけだし、ま、いいか」とそのまま会社に向かいました。
尊敬している編集者の先輩のひとりに携帯を持っていないことで有名な方がいました(今は、遂に会社携帯を持たされたようです)。長年にわたり「不便じゃないですか?」と聞いていたのですが、返答はいつも同じで、「不便じゃないよ」。彼はその一点張りでした。作家さんやタレント事務所さんなどのやりとりで、いつでもつかまる状態にしておいた方がいい立場にもかかわらず、です。私は直接仕事を一緒にする立場にはなかったので何とも言えませんが、メールをしておけば必ず数時間後にはPCからメール返信をくれる彼に私が不便を感じたことはありません。彼のまわりで働いていた方に尋ねたところ、結果的にまわりがその状態に慣れるしかなく、「仕方がないね」と気にならなくなっていったそうです。かなり変人扱いをされていましたが、彼は我関せず。彼の携わる出版物はいつだって彼にしかつくれない濃さがありましたし、とても偏屈なのに、とても人望がありました。
この日、携帯を忘れたことにより、私は買ったばかりの新書をその日の通勤時間だけで読了しました。いつもは何気なく携帯電話でメールチェックしたりSNSを眺めたり、いくつかのニュースサイトをチェックしたりしているので、持ち歩いているわりになかなか読み終わらないのに! 会社を出てから大学院に行き、携帯をもたない状態の身軽さ、そして不便さ自体が新鮮で、帰宅途中、深夜まで営業しているカフェで、バッグに入れていたもう一冊の本も読み始めました。
会社を出て(基本的にPCは持ち歩いていないので)オフライン状態で数時間。「なにか急ぎのメッセージがきているかも!」と帰宅後にいそいそとチェックしてみたももの、緊急ではない業務連絡がたったひとつ入っているだけでした(あるある、ですね笑)。夫に「不便だったでしょ?」と聞かれましたが「それが、そうでもなかったんだよね」と。いや、本当に負け惜しみでもなく。
携帯で記事を読んでいただいているメディアの長である私が言うのも何ですが、「悪くないぞ」と思える1日だったのでした。
今日のお品書き
スタイリストの福田麻琴さんによる初夏ファッション特集、お楽しみいただいておりますか? 今日の提案、「バッグと靴の作り置きセット」……考えてみたこともなかった! たしかに、効率よくコーディネイトを組むことができそうです!!!!
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