米倉涼子さんが、過去に観た映画を紹介するアーカイブ コレクション。
そのときに観た映画から、米倉さんの生き方、価値観が垣間見えます。

The Weinstein Company / Photofest / ゼータイメージ

エルメスのケリーバッグの名匠の由来になった女優、グレース・ケリー。ハリウッド女優からモナコの公妃になった人であることはもちろん知っていましたが、笑顔の裏側にこんなにもつらいを思いを抱えていたとは、『グレース・オブ・モナコ 公妃の切り札』を観るまで知りませんでした。

事実にフィクションを織り交ぜた映画ですが、グレースが妻や公妃としての立場、女優業について色々な葛藤を抱いていたことは、ひとつの真実だと思います。
女優にとって、結婚を決めるのは一大事。普通の人が相手でも大変なのに、女優を引退してまで一国の大公と結婚するとなったら、どれほどの覚悟が必要だったか! それなのにモナコでの彼女は孤独で、夫も女優として現役だったグレースに惚れたはずなのに仕事復帰を許してはくれない。国際政治の難しさを背景に、美しさのベールの下に隠されたものを描き出した映画だと感じましたね。

男の人の嫉妬や支配欲も描かれていて美しいだけの映画ではありませんが、’50年代のファッションに身を包んだニコール・キッドマンは本当にきれいだった! 『アイズワイドシャット』以降は野心的な作品への出演も多く、最近は『ペーパーボーイ 真夏の引力』などでもはすっぱな女の人を演じている彼女ですが、やっぱり個人的にはこういう高貴な美貌が生かせる役柄をもっと演じてほしい。監督は『エディット・ピアフ~愛の讃歌~』を撮ったオリヴィエ・ダアン。“ニコール・キッドマンのグレース・ケリー”が撮りたかったんだろうなと思ったほど、ニコールという女優への愛情を感じました。

『グレース・オブ・モナコ 公妃の切り札』
グレース・ケリーとモナコの大公レーニエの“世紀の結婚”から6年。王室のしきたりに馴染めてない彼女のもとに、ヒッチコックからのオファーが届く。そんなときモナコはフランスから過酷な課税を強要されそうになり、危機に直面する。グレースは自らモナコを救うために動き出して……。 

取材・文/細谷美香
このページは、女性誌「FRaU」(2014年)に掲載された
「エンタメPR会社 オフィス・ヨネクラ」を加筆、修正したものです。