米倉涼子さんが、過去に観た映画を紹介するアーカイブ コレクション。
そのときに観た映画から、米倉さんの生き方、価値観が垣間見えます。
ブロードウェイミュージカルを映画化した『ジャージー・ボーイズ』。’60年代の人気グループ「ザ・フォー・シーズンズ」の実話をもとにした作品です。
ミュージカルの方は観たことがなく、スクリーンで初めてこの物語に触れた私。実は少年時代の彼らが出てきた瞬間、ものすごくオリジナリティのある人並み外れた甲高い声と濃いルックスが強烈で、「うっ、無理かも!」と思ってしまったんです(笑)。でも大人になって外の世界に出てからは、どんどん磨かれて洗練されていくものなんですね。気がつけば音楽にノリながら観ていました。
彼らのことを知らない私でも『君の瞳に恋してる』『シェリー』などおなじみの曲がいっぱいでしたから、母親世代が観たらさらに楽しめそう。そういう意味では、上の世代の人たちとのコミュニケーション・ツールにも最適な作品といえるかもしれないですね。
男の友情の良さと脆さ、家庭と仕事の両立の難しさ、音楽ビジネスの裏側、そのあたりもテンポよく描かれています。それにしても『ミリオンダラー・ベイビー』を撮った監督が、こういう音楽劇まで作れるなんて、クリント・イーストウッド監督の作風の幅広さにはあらためてびっくり! 次にどんな映画を撮ってくれるのか、今から楽しみです。
このページは、女性誌「FRaU」(2014年)に掲載された
「エンタメPR会社 オフィス・ヨネクラ」を加筆、修正したものです。
『ジャージー・ボーイズ』
1951年、ニュージャージー州のイタリア移民が集まる貧しい街。理髪店の見習い として働く16歳のフランキーは、神様からのギフトともいえる類まれな歌声を持っている少年。やがて仲間たちとグル ープを結成し、苦労しながらも成功への階段を上っていく。トニー賞受賞のブロ ードウェイミュージカルを映画化。