――安いもの、お得なものを求める、イコールお給料が上がらない、その悪いスパイラルから脱出するにはどうしたらいいでしょうか。
藤野:私は「希望最大化戦略」の価値観を大事にすることだと思います。お金持ちの人は、「希望最大化戦略」の価値観を持っている人が多いですよ。
――「希望最大化戦略」?
希望を見出して、より頑張っていこうという価値観です。いいパートナーと恋に落ちて、前向きな関係を作っていき、会社で頑張ってみよう、起業しよう、投資しよう、NPOやNGOに参加してみよう、海外旅行に行ってみようと考えて、その道を進んでいく。
つまり、こちらはお金をたくさん使うわけですね。使ったお金は、いずれまたどこかに返ってくるだろうと、希望を最大化していく考え方です。
反対は「失望最小化戦略」。できるだけ「失望しない」ことを優先する価値観です。結婚しない、車を買わない、転職しない。いつも同じような店で洋服を買って、最低限のものを食べ、貯金だけで投資はせず、最低限の活動がいいと考えること。こういう人が増えるとデフレ社会はさらに進んで、人々が希望を見出せません。
「希望最大化戦略」は、昔の日本の高度経済成長時代にも起きていたと思いますし、今の中国やアメリカでは、そういう価値観の人が多い。日本も大金持ちもそうだと思います。
ところが今の日本は、「希望最大化戦略」の考え方は、一般的には「イタい人」と言われてしまいがち。周囲の目を気にして「失望最小化戦略」をとっている人も多いのではないでしょうか?
そんな空気を少しずつ変えていけたらと思っています。
――考え方や価値観がそもそも「お金持ち」は違うんですね。他にも「お金持ち」の人がしている習慣はありますか?
藤野:「ありがとう」とよく口に出して言うことですね。一番簡単で、一番成功する言葉。なんていうと自己啓発のようですが(笑)、投資家としても大切なことで、私がセミナーでもよくみなさんに伝えているんです。
投資をするなら、リターンを上げるために、コストはゼロに近ければ近いほどいい。「ありがとう」という言葉は、コストがゼロです。
ポジティブな言葉は、時にリスクを伴うことがあって、例えば「今日はきれいですね」というと、「昨日はきれいじゃなかったのか?」「人を美しいか美しくないかで判断するのか?」と誤解されることもありますよね。
ところが「ありがとう」という言葉に、立腹する人はいません。「ありがとう」と言われると、言われた方はうれしいし、元気もやる気も出ますよね。つまり、ノーリスクなんです。
企業や経営者で成功している人は、「ありがとう」という言葉を、普通の人の何倍も言っていると感じます。成功しているから「ありがとう」というようになったというよりも、「ありがとう」と言っているから成功したんじゃないでしょうか。
日本では「金を払う人が偉い」という空気があって、お店でも偉そうな態度を取っている人を見かけますけど、僕は、コンビニなどで買い物をしてお店の人から受け取るときに「ありがとう」と言うようにしています。他にも、飛行機を降りたときのCAさんやタクシードライバー、ファーストフードの店員さんも、同じですよ。
――意外な、でも誰でもできる習慣ですね!それがめぐりめぐって、世の中がよくなることにもつながりそうですね。
藤野:まさにそう。「ありがとう」と言う言葉は仕事へのリスペクトでもありますから、お互い仕事をリスペクトして、会社をリスペクトして、自分自身をリスペクトすることになる。
自分に自信が出れば、自分の好き嫌いにも敏感になりますよね。会社に対しても好き嫌いの概念を示すようになって、好きな仕事や好きな会社で働こうと思うようになって、より稼げるようになり、幸せは増していくと思いますよ。
文/西山美紀
構成/片岡千晶(編集部)
前回記事「親と「お金の話」をするコツとタイミング実例」はこちら>>
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