米倉涼子さんが、過去に観た映画を紹介するアーカイブ コレクション。
そのときに観た映画から、米倉さんの生き方、価値観が垣間見えます。

女優の映画で“女優のあり方”を考える『アクトレス~女たちの舞台~』【米倉涼子のシネマコレクション】_img0
IFC Films / Photofest / ゼータイメージ

全体に流れる気取ったムードには、最後まで乗り切れなかったのですが、女優のひとりとして興味深く観ることができました。
皆さんに広くおすすめできるかというとちょっと自信がないのですが、ぜひ感想を聞いてみたい!
ヒロインである大女優のマリアと若き敏腕女性マネージャーとの関係を見ながら私がまず感じたのは、大女優だからこその孤独や不安というものがあるのかもしれないけれど、マネージャーに依存しすぎでは? ということ。

 

そしてクロエ・グレース・モレッツが旬の勢いで演じている、若きお騒がせセレブ女優のジョアンの言動を見ながら、私も気をつけなくっちゃ!と思いました(笑)。メディアや世間の人たちの目には、こういう風に映るんだな、と勉強になりましたね。

反面教師にしたいと思ったのは、稽古のときのマリアのジョアンへの態度。ついアドバイスをしてしまうシーンでは、同じ舞台の上では先輩後輩は関係ないのだから、痛い行為だなと感じてしまって。
でも私ももっと年齢を重ねたら、マリアの複雑な気持ちがわかるようになるのかもしれません。私自身は若さだけではなく、キャリアや仕事内容で戦っていける女優でいるために、努力していきたいなと思っています。

『アクトレス~女たちの舞台~』
女優、マリアのもとに届いたのは、かつて自分が出演した舞台のリメイク版のオファー。演出家からは、昔演じた若い娘役ではなく、彼女に翻弄されて自殺する中年女性を演じてほしいと依頼される。ジュリエット・ビノシュ、クリステン・スチュワート、クロエ・グレース・モレッツの競演。

取材・文/細谷美香
このページは、女性誌「FRaU」(2015年)に掲載された
「エンタメPR会社 オフィス・ヨネクラ」を加筆、修正したものです。