日本のふるさとを描き続ける素朴画家・原田泰治さんと、美しい日本語とメロディーで日本人の心を歌い続けるさだまさしさん。「まさし君の歌が人々をあれだけ魅了できるのならば、僕は絵の世界で、人に夢や希望を湧き立たせることができるようになりたい」と原田さんは語っています。
初対面で互いに魅かれあった二人の友情から、それぞれの絵と歌を組み合わせた『こすもすの詩』『やまざくらの詩』『れんげそうの詩』という3冊の画集が生まれました。
長野県諏訪市の原田泰治美術館では、3冊の画集に収載された原田さんの絵の原画49点それぞれに、さださんの歌詞パネル49点を添えた「二人の友情展」が始まりました。「画集の立体化」とも言える展覧会をたくさんの人が楽しんでいます。
さださんが山口百恵さんに楽曲を提供してヒットした「秋桜(こすもす)」(1978年)。小春日和の一日、嫁ぐ日を前にした娘と母の間に流れる穏やかな風。そしてその風は、原田さんの描く「コスモス」(1995年)咲く湖面にもやさしく吹きわたっています。
いっしょに旅もするようになった原田さんとさださん。テレビ番組の収録で、旧山古志(やまこし)村を訪ねました。村の人たちの温かさにふれ、原田さんは「雪深い村」(2002年)という絵を描き、さださんは「春待峠」(2002年)という曲を作りました。
しかし2004年10月の中越地震によって、描いた家々は土砂崩れにのまれてしまいます。村の再生を願って原田さんが再び描いたのが「山古志の春」(2005年)。芽吹きのやさしい色が山を包み、池には村特産の錦鯉が泳ぐ、被災前の山古志の春でした。
強く強く祈ったら いつか叶うかな
二人 手のぬくもりを 抱きしめる春 (「春待峠」より)
画面いっぱいに、北海道美深町に咲くジャガイモの白い花を丹念に描いた原田さん。「ジャガイモの花」(1984年)に添えられたさださんの曲は「北の国から 遥かなる大地より」(1982年)。ご存知のようにこの曲に歌詞はありませんので、さださんが富良野・倉本聰宅での名曲誕生の秘話を、エッセイとして寄せてくださいました。
二人の出会いは、さださんが書店でその書名に惹かれて、『さだおばさん』という原田さん作の絵本を手にしたことに始まります。その絵に描かれた雪を見たさださんは、「泰ちゃんの絵に降る雪に惚れた、その雪は本当に掌の中で溶けた」と語っています。その後出会った二人は意気投合、「泰ちゃん」「まさし君」と呼びあう、変わることのない友情の始まりでした。
「まさし君が日本を、日本の失われつつあるものを歌い続けるのならば、僕は、それを描き続けようと思った」(原田さん)
「私は日本を愛しています。リキまず、媚びず、堂々と伝えられる音楽になりたい。心からそう思った。泰ちゃんのように」(さださん)
共鳴し、認め合い、刺激しあう二人の友情。ふるさとを、そして日本を思う気持ちは途切れることなく、そしてぶれることなく続いています。
会期:2019年8月7日(水)~2020年1月13日(月祝)
月曜休館・12月28日(土)~1月1日(水)年末年始につき休館
会場:諏訪市原田泰治美術館 第二展示室
住所:〒392-0010 長野県諏訪市渋崎1792-375
http://www.taizi-artmuseum.jp/
チケット読者プレゼントのお知らせ
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諏訪市原田泰治美術館での企画展「原田泰治×さだまさし 二人の友情展」(2019年8月7日〜2020年1月13日)の観賞券をプレゼントいたします。
応募締め切り:9月12日(木)〜11:59まで
●応募にはmi-mollet(ミモレ)の会員登録(無料)が必要です。
●プレゼントのご応募は、1回までとさせていただきます。
●当選者の発表は賞品の発送をもってかえさせていただきます。
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