川上さやかの初ファッション指南本“トレンドは買わない”の意味
こんにちは、エディターの高橋です。
スタイリスト川上さやかさんの人気特集である『Sサイズコーデ』『脱ほっこり』『大人の仕事服』を一緒につくり、今回の書籍『おしゃれになりたかったらトレンドは買わない。』の構成・ライティングを担当しているエディターです。さやかさんとは、スタイリストのアシスタントを始められた頃からの付き合いで、さやかさんも私も元会社員の経験があったことから、スタイリストとして独立した後も、提案するスタイリングに大きく共感しているひとりです。今回は、そんな私から新刊の見どころ、タイトル決定の経緯をご紹介したいと思います。
流行り始めのアイテムは見送っていい
まずタイトルについて。『おしゃれになりたかったら、トレンドは買わない。』このタイトルに決まるまで、いくつも候補を考えました。どんなタイトルなら、さやかさんのファッションに対する考え方をしっかりと伝えることができるのかーー。ミモレのバタやんと何案も考え、デザイナーさんに何パターンも表紙に当てはめていただき、これだ!と感じるまで、とことん議論しました。
結果決まったこのタイトルは、元会社員で、地に足のついたファッションの提案ができるさやかさんならではのポリシーが詰まっていると思います。
『おしゃれになりたかったら、トレンドは買わない。』。これは日ごろさやかさんが大事にしている感覚で、流行りはじめたばかりのトレンドには手を出さず、しばらく待って、そのアイテムが新定番として定着してから取り入れるという意味です。わかりやすいトレンドアイテムを身につけると、簡単におしゃれになれそうな気がしてしまうのですが、最新トレンドアイテムはバランスが新鮮なものが多い。結局買ったのにうまく手持ちのアイテムとコーディネートできなくて、タンスの肥やしになってしまうこと、ありますよね。ガウチョパンツ、ロングジレ、ビッグシルエットなど……。定着するまでいったん見送るスキルを身につけると、無駄な買い物をしなくて済むのです。
おしゃれが好きな人ほど陥る“おしゃれ迷子”から救いたい
さやかさんの本をつくるにあたって、絶対に譲れなかったことがあります。それは、この本を“スタイリストのスタイルブック”にしないこと。おしゃれで感度の高いスタイリストやモデル、インスタグラマーの素敵な私物やおしゃれなコーディネートがたくさん詰まっている本は、見るだけで目の保養になります。でも、今回つくりたいのはそういった本ではなく……。
会社員だったころのさやかさん自身が「クローゼットに服は並んでいるのに、今日着る服がない」「気に入って買ったはずなのに、うまく活用できなくて、タンスの肥やしになっている」「自分に何が似合うかわからなくなってきた」……というような“おしゃれ迷子”を経験してきたからこそ、脱出できた方法をお伝えできるのではないか。
これまでさやかさんとmi-molletやファッション誌の企画でご一緒しているときに感じていた、「ひとつひとつのアイテムをこだわり抜いて選ぶ姿勢」「誌面映えや写真映えのためでなく、実際に私たちが生活する上で役に立つ、等身大のコーディネート提案」「ファッショニスタのコーディネートではなく、理論的なルールに基づいた考え」などを多くの人に伝えるには、“ファッション指南本”であることがマストだったのです。
そんな気持ちでつくっていたのに、途中で“スタイルブック”方向に走ってしまっていることに気づき、イチから構成を練り直したこともありました。
結果、多くの女性たちに役立つであろう、おしゃれ迷子から脱出するためのルールを56個盛り込んだ一冊が完成しました。今は書籍の完成に向けて、最終調整をしているところです。
スタイリスト/川上さやか
ヘアメイク/桑野泰成(ilumini.)
構成・文・書籍構成・書籍文/高橋香奈子
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