育休の取得について検討していた自民党の小泉進次郎議員が、9月11日の内閣改造で環境相として初入閣しました。小泉氏の育休取得に対しては、野党の一部から「待った」の声が上がっていることに加え、大臣ともなればかなりの激務が予想されます。男性の育休取得は、少子化問題に関わる重要なテーマですが、国会議員の育休についてはどう考えればよいのでしょうか。
小泉氏は、フリーアナウンサーでタレントの滝川クリステルさんと8月8日に結婚しましたが、来年1月に予定されている第1子の誕生を前に、「(議員の育休について)いろいろな方のアイデアを聞きたい」と延べ、育休取得に前向きであることを明らかにしました。
小泉氏の判断に注目が集まる中、この動きに待ったをかける発言を行ったのが、国民民主党の泉健太政調会長です。泉氏は、一般労働者が育休を取った場合、賃金が支払われないケースがほとんどなのに、国会議員の場合、何カ月休んでも給料(議員歳費)が減らされることはなく不公平であると指摘。政権与党として、すべての労働者に対する育児休業給付金の支払いを実現するのが先決であると主張しました。
世の中でも、議員の育休については、賛成の意見と反対の意見で真っ二つという状況のようです。
一般論として、日本では少子化が大問題となっていますし、子育てについては圧倒的に女性の負荷が大きいという現実がありますから、男性の育休取得そのものを否定する人は少数派でしょう。しかし小泉氏の場合には、国会議員という立場が判断を難しくしているようです。逆に考えれば、国会議員というのがどのような存在で、何に対して歳費が支払われているのかについて理解できれば、この問題に対する判断も容易になると思われます。
日本人の多くを占めるサラリーマンは、会社に労働力を提供する代わりに賃金をもらっており、働いた時間の長さが賃金の基準となっています。スキルや年次によって単価は変わりますが、基本的に時間で金額が決まっていますし、そうであればこそ残業代の未払いという問題も発生するわけです。
しかしながら、国会議員というのは、サラリーマンのように労働をする代わりにお金をもらうという立場ではありません。
国会議員は、国民から選挙で選ばれて国会で法律を作るという仕事に従事しています。多くの人はあまり意識していないかもしれませんが、法律を作るという行為は国家権力そのものであり、非常に恐ろしい仕事でもあります。例えば、同性愛者を処罰するという法律を1本作るだけで、本当に同性愛者をこの国から排除できてしまいますし、人身売買を合法にすることすら不可能ではありません。
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