集団行動や規則を守るといったことは苦手ながら、一方で、類まれな才能を持っているといわれる発達障害の子供たち。しかし多くの子が、その才能を生かせていないのが現状です。子どもの発達障害の権威として著名な杉山登志郎医師は、この問題の根底には日本特有の全体主義にあるといいます。
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知的な遅れを持たないASD(自閉症スペクトラム障害)の子供たちは、通常10歳頃になると他の人たちが何を考えているのかが分かるようになってきて、社会的なコミュニケーションも自然と向上する。すると個別な対応が必要な子も減ってくる。実際、私が長く診てきたASDの子たちは、小学校は支援クラスでスタートし、高学年や中学生から通常クラスに変わっていった子はとても多い。
しかし日本では、小学校では支援クラスが足りないという問題が少ないのに、中等部でやや増え、高等部で希望者が殺到して入りきれなくなる、ということが起こっている。きちんと教育がおこなわれていたら、小学校で希望者が多く、高学年頃から減っていくはずなのに、だ。
知的に高い子が特別支援クラスに入るアメリカ
他の先進国と、日本の特別支援教育とでは、ものすごく大きな違いがある。日本では特別支援教育の免許を持っていなくても通常校の支援クラスは担当できることになっているが、多くの先進国は、通常の教員免許を取得したうえで、大学院を出てはじめて特別支援教育の免許が取れる制度になっている。専門の教育を受けた者以外が特別支援教育に携わることはないのだ。
しかし最も大きな違いは、知的に高い子への支援である。たとえばアメリカでは、知的に高いギフテッドのための特別支援教育がある。
知的に高い子は、通常のカリキュラムだと退屈してしまう。アメリカで特別支援教育を受けている子供は、一番多いのは学習障害の子供だが、二番目に多いのがこのギフテッドなのだ。
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