――お金持ちのお金の使い方は、「ケチだ」と言う人もいます。
泉:ええ、実際ケチなお金持ちもいっぱいいます(笑)。
というのも、お金持ちほど、お金の本質をわかっているんです。つまり、「価値を判断できる目」を持っているからこそ、価値のないものにお金を払わないんです。
例えば、お金持ちがベンツに乗って、3万円のお寿司を食べていたとしたら、それに価値を感じてお金を払っているから。
ところが100円ショップに行って、その商品に価値がないと思ったら100円でも払わない。「何千万円も払えるのに、100円すら払わないなんてケチだ」と感じるかもしれませんが、価値で判断している結果です。
――確かに、人生はどこでお金を使うか、使わないかという積み重ねですね。
泉:そうです。タクシーに乗るか乗らないか、雨が降ってきたから、傘を買うか、買わないか。ランチを自分でつくるか、それとも500円のお弁当か、3000円のホテルランチなのか……。
そういう判断を積み重ねていって、10年、20年、30年と時がたつにつれて、お金持ちはお金持ちになっていっていく。価値に対して正しい判断をしてお金を使っていない人は、お金が残りません。
――1億円を持っていたとしても、何も考えずにいつもタクシー、高級ランチとじゃぶじゃぶ使っていたら、あっという間になくなりますものね。
泉:そうなんですよね。さらに出費だけでなく、入ってくるお金も重要です。
何かの資格を取るのに1、2万円のコストだから安いと思っても、それが収入につながらなかったらあまり意味がない。一方で弁護士の資格やMBAを取るのに1000万円はかかると思いますが、将来の年収は確実に上がるでしょう。
弁護士資格を取って仮に年収が300万円上がるとしたら、元手の1000万円なんて数年で簡単に回収できてしまう。お金持ちなら、「たった3年で回収できるから、1000万円くらい安いよね」と思うでしょう。
ところが、1、2万円で取れる資格は、安くて簡単でいいのかもしれませんけど、収入アップにつながらなければ、結局回収できないのです。
――日頃の判断の積み重ねが重要ですね。
泉:はい。相続とか、宝くじによって、簡単に大金を手にするケースもあるかもしれませんが、それはかなり珍しいこと。
基本的に自分でお金を増やした人は、正しい判断の積み重ねをしている結果なんです。
撮影・構成/片岡千晶(編集部)
前回記事「正しくお金を増やすために金融機関で必ず聞くべき質問とは?〜泉正人さんインタビュー」はこちら>>
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