学校内でのいじめの問題を鮮烈に描いた『ライフ』で有名なすえのぶけいこさんの最新作がついに登場。新築のタワーマンションを舞台に、マンション内カーストやママ友いじめなどを鋭いタッチで描いた『おちたらおわり』は、マンションや職場などあらゆる女性コミュニティで生きる女性必見の衝撃作です。

 

作品の舞台は新築のタワーマンション。主人公の月島明日海は在宅でイラストの仕事をしながら主婦業をする結婚5年目の36歳。ひとり娘のアレルギーに悩み、初めての育児に戸惑う日々の中、家族3人の一世一代の大イベントであるマイホームを購入したところから物語は始まります。マンションの入居説明会で、娘が入園予定の幼稚園のママと出くわしママ友トークに誘われるのです。そこに、ひときわ目をひく華やかな女性、真宮孔美子が。彼女は同じタワマンの最上階を購入しているセレブで、なんと学生時代に明日海をいじめた主犯格だったのです。明日海は二度と会いたくないトラウマの張本人と再会をし、夢のマイホームであるタワーマンションの中で徐々に追い詰められていきます。

タワーマンションに限らず、新築分譲のマンションというのは購入時、他の部屋の売り出し価格がわかってしまうために、同じ屋根の下の中での暗黙のヒエラルキーがあるものです。それがタワーマンションとなると、さらに多様な価値観をもつ人と同じコミュニティになるので〝よそはよそ、うちはうち!〟と我関せずでいることが大切な気がします。けれど、この物語は、我関せずでは済まされないことが次々と襲いかかってくるのです。

主人公の明日海がやっと手に入れた念願のマンションで、最上階の物件を購入した人が学生時代のいじめの主犯格だとわかった恐ろしさ。考えただけでも生き地獄ものです。さらに、幼い娘を育てている母親同士、ママ友による陰湿ないじめ地獄。大人になると気があわない人とは距離をおけばいいものですが、気のあわない人ともにこやかに関わらなければいけないのがママ友関係の難しいところ。子どもを守りたい親の気持ちと、壮絶ないじめのトラウマ。時に明日海は考えすぎなのでは?と思う箇所も出てきますが、エキセントリックにならざるを得ないエグすぎる過去が読みすすめていくごとに明かされていきます。

娘が寝たあと、明日美はネットで孔美子のことを検索します。
「思い出したりすることはなかった でも絶対に〝幸せになんかなるな〟って ずっと ずっと思ってた 世界で一番憎たらしい 私の心を殺した悪魔」

孔美子を中心としたいじめの悪魔に、逃げることなく立ち向かう明日海。母として娘を守り切ることはできるのか、『おちたらおわり』というタイトルは何を意味しているのか。心がズシリと重くなりながらも、続きが待ち遠しくなる作品です。

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『おちたらおわり(1)(BE LOVE KC)』

著者 すえのぶ けいこ 講談社

念願かなって、新築のタワーマンションに引っ越してきた主婦の明日海(あすみ)。娘の杏(あん)を通して、4人のママ友ができるが…?憧れのタワマンを舞台に繰り広げられるママ友同士の過酷な人間模様を「ライフ」のすえのぶけいこが強い筆致で描く!