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「キャリアか結婚か」若く美しい雅子さまの決心…誠意と愛情溢れる婚約会見

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「本当に私でよろしいでしょうか」

ご婚約決定後の記者会見 写真/JMPA

――皇太子さまのプロポーズと時期、その言葉、また雅子さんの返事の時期と言葉は、どのようなものだったのでしょうか。

 

浩宮さま それは10月3日に千葉県の鴨場で、雅子さんに「私と結婚していただけますか」と申しました。そのときの答えは、はっきりしたものではなかったわけです。
その後、12月12日にこの仮御所に来ていただいて、「私からの申し出、受けていただけますか」と申しまして、それを受けていただいたというわけであります。

雅子さん 12月12日は、私からはまず殿下に「本当に私でよろしいでしょうか」と伺いました。それに対して殿下が「はい、そうです」とお答えくださいましたので、私から次のように申し上げました。
「私がもし殿下のお力になれるのであれば、謹(つつし)んでお受けしたいと存じます。これまで殿下にはいろいろ大変幸せに思えること、うれしいと思えるようなことも言っていただきましたので、その殿下のお言葉を信じてこれから二人でやっていけたらと思います。

お受けいたしますからには、殿下にお幸せになっていただけるように、そして、私自身も自分で「いい人生だった」と振り返れるような人生にできるように努力したいと思います。至らないところも多いと思いますが、どうぞよろしくお願いいたします」。このように申しました。


「雅子さんのことは僕が一生全力でお守りします」


――外交官という職業を捨てることに悔いはありませんか。また、皇室入りを決意させたものは何でしょうか。両陛下、皇太子さまから不安をぬぐいさるようなお言葉はありましたでしょうか。

雅子さん 6年近く務めた外務省を去ることに、寂しさを感じないと申しましたら、うそになると思います。外務省では大変やりがいのある仕事もさせていただいておりましたし、大変学ぶべきところの多い尊敬すべき先輩や同僚にも恵まれて、とても充実した勤務でございました。
でも、昨年(平成4年)の秋、本当にいろいろと考えた結果、今、私の果たすべき役割というのは、殿下からのお申し出をお受けして、皇室という新しい道で自分を役立てることなのではないか、と考えましたので、決心したわけです。今、悔いはございません。

天皇皇后両陛下への挨拶を終えた雅子さんと両親 写真/JMPA

考えている過程で、殿下からは、私の心を打つような言葉はいくつかいただきました。
その一つは、これは11月の後半だったと思いますが、「皇室に入られるには、いろいろな不安や心配がおありでしょうけれども、雅子さんのことは僕が一生全力でお守りしますから」とおっしゃってくださいました。

12月の初めには、「十分、どうぞ十分お考えになってください」と。ご自身も「大変悩んだ時期がありました」とおっしゃられたので、私が「何をお悩みになられたのですか」と伺いましたら、「僕としては、雅子さんに皇室にぜひとも来ていただきたいと、ずっと思っているけれども、本当に雅子さんのことを幸せにして差し上げられるんだろうか、ということを悩みました」と言われました。

そのような皇太子殿下の真摯(しんし)な、大変誠実なお言葉をいただいて、そういうお気持ちを私としては、大変幸せに思うことができました。私にできることでしたら、殿下のことをお幸せにして差し上げたいと思った次第でございます。
両殿下からのお言葉ということですが、殿下からは私がもしお受けすることになったら、「両陛下も温かくお迎えする」と、おっしゃってくださっているということがございましたので、私にとって、大変大きな励みではございました。