「失敗は成功の母」とは言うものの、できれば失敗とは縁遠くありたいもの。今回、NHKの連続ドラマ『ミス・ジコチョー —天才・天ノ教授の調査ファイルー』(以下、『ミス・ジコチョー』)で松雪泰子さんが演じる工学者の天ノ真奈子は、“失敗学”を研究しており、他人の失敗が大好物。掟破りのキャラクターを演じる松雪さんに、失敗をテーマに話を聞きました。
松雪泰子 松雪泰子 1972年生まれ。テレビドラマ、映画、舞台に数多く出演。映画「フラ・ガール」、テレビドラマ「Mother」などで多くの賞を受賞。また、2018年ウォルト・ディズニーの「リメンバー・ミー」では声優として出演するなど、日本を代表する女優として多岐にわたり活躍中。
今度の松雪さんは社会の悪と戦う超天才工学者。武器は「失敗学」!
常に話題性あるテーマで展開するNHKドラマ10。新番組『ミス・ジコチョー』は、『陸王』『半沢直樹』の八津弘幸、『おっさんずラブ』の徳尾浩司による完全オリジナルの作品で、さまざまな事故を第三者の視点で調べる「事故調査委員会(事故調)」に招かれた、「失敗学」の研究者にして天才工学者の真奈子を松雪泰子さんが演じます。
「失敗学」とは、その物理的な理由や原因を分析し、それを取り巻く環境を検証し、同じ失敗を繰り返さないための研究をする学問のこと。真奈子が調査するのは、化学プラントでの爆発事故、学校給食の食中毒、ライブハウスでの火災事故、医療事故など。隠ぺい、改ざん、嘘で隠された真実を究明するために失敗学を武器に切りこんでいく真奈子に、「もっとやれ!」とついエールを送りたくなってしまいます。
「失敗した人をバサバサ切っていきます(笑)。ただし、失敗学の目的は責任の追求ではなく、100年後の人類に対して、そこから学んだことを生かして改善したり、同じ失敗が起きないように人や社会に広めていくことなんです。私も真奈子というキャラクターを通して社会に向けて発している感覚になります。
ただし、真奈子は先の時間軸を見据えている天才なので、思考スピードが早過ぎて助手さえも翻弄してしまうほど。その辺りはコミカルに演じられたらいいなと思っています」
傍若無人で社会性がなく、常人を置いてきぼりにするスピード感で謎を解決する天才といえば、シャーロック・ホームズを連想します。けれどシャーロックに比べると、真奈子はそれほど早口ではなく、きちんと相手の心に言葉を届けるように喋り、人使いは荒いが感謝するという人間味が。基地となる研究室のメンバーともいい関係を築いており、一匹狼でもありません。ただ、思考と行動がマイペースなだけなのです。
そして極端に長いロングヘアの三つ編みと眼鏡、リュックにスニーカーという出で立ちが印象的。真奈子の外見的なキャラクター作りについては、松雪さん自身も全面的にアイデアを出したそう。
「偏った趣味・思考が外見からも分かると天才タイプというキャラクターが視聴者にも伝わりやすいと思ったので、必要以上のロングヘアを提案しました。三編みは、子供の頃からこのスタイルを貫いているんだろうな、というイメージです。」
また、このドラマのもうひとつの見どころになりそうなのが真奈子のファッション。事故現場でヘルメットをかぶっていてもとにかくかっこいい! 黒やグレーを貴重にしたシックな色合いと、ワイドなロングパンツやストンとしたシルエットのロングワンピースはモード感もありつつ、現場での機動力も兼ね備えつつ、社会人としてのきちんと感も。ビジネスファッションの参考にもなりそうです。
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