異教徒同士の友人夫婦にみる「隣人への愛」のあり方_img0
毎年恒例、デヴィとビビンと一緒に出かけるミニホリデー。今年はビンタン島のザ・サンチャヤで。

私の古くからの友達、デヴィは父がドイツ人、母はオランダ系インドネシア人です。
ご主人のビビンはインドネシア人で宗教的にはイスラム教に属しています。
2人がインドネシアで結婚するには、夫婦が同一の宗教でなくてはいけないため、彼女がイスラム教に改宗しなければなりません。

 

彼女はクリスチャンとして育ち、彼女の信じるものはプロテスタントの教えです。
ビビンの家族はインドネシアでは高名な家族。そして宗教はイスラム教とされています。
30年以上前のこと、デヴィはビビンと交際するようになり結婚を考え始めると、混乱を避けるために祖父母の住むドイツに居を移しました。

でもビビンの気持ちは彼女と結婚することと決まっていました。
家族に内緒で自分の給料数ヶ月分を貯めて、自身のドイツへの往復の飛行機チケットとデヴィのためのドイツからジャカルタまでの片道チケットを手に入れ、出発しました。
でもビビンはお母さんだけには、自分の気持ちと明日ドイツに行くことを伝えておいたのです。
そしてドイツのハンブルクに到着後、デヴィの祖父と祖母、彼女のお兄さんだけを伴い、市役所で結婚しました。
デヴィの叔父さんがささやかなディナーで家族と一緒に祝ってくれました。

その後2人はインドネシアに戻ってきて、結婚生活を始めました。
父親同士が初めて顔を合わせたのは、それから5年後です。

夏休みをドイツで過ごすため、デヴィの両親と赤ちゃんだった長男を連れてジャカルタの飛行場にいたときのこと。
ビビンの父がおそらく彼らの予定を知って、突然現れたのです。
当然、2人は動揺で言葉も出ないのですが、その前を通り過ぎてビビンの父はデヴィの父を無言で強く抱擁したのです。
それからはお互いの家族と仲良く交流し、長男に続いて誕生した長女も今は独立、昨年30年目の結婚記念日を迎えました。

 
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