「献立に迷いたくない!」そんな思いは、誰もが持っているのでは?
Twitterで大人気のアカウント「きょうの140字ごはん」の中の人であり、二人の子をもつワーキングマザー、寿木けいさんのごはん作りが、その参考に。
今回は、寿木さんの著書『いつものごはんは、きほんの10品あればいい』から、朝10分の「ちょい仕込み」を紹介。
出来立ての感動を奪ってしまうから「作り置きはしない」という寿木さんの、夕食作りが楽になる、朝の「ちょい仕込み」習慣を覗かせていただきます。

 


朝10分の「ちょい仕込み」


ものごとを自分のペースでこなせるのは、断然朝だ。起きる時間は自分でコントロールできるし、朝早く電話をしてくる同僚もさすがにいない。私は朝の分を利用して夕飯の仕込みをする。全部作ってしまうのではなく、少しだけ仕込むのがポイントで、出来たての感動を奪う「作り置き」はほとんどしない。ちょい仕込みは、刻み系、加熱系、タレ系、熟す系の4種類に大別できる。まず刻み系は、朝食用にまな板と包丁を出したついでに刻めるものを一気に刻んでしまう方法。加熱系は主に青菜用。新鮮なうちに蒸すか茹でるかして、冷蔵庫に入れておく。帰宅したらすぐに使えるし、疲れていればおかかと醤油をかけるだけでもいい。タレ系は、漬け丼などのタレを前もって作っておくやり方。レンジを活用することもある。最後の熟す系は、時間が経つほどなじんでおいしくなるレシピ向き。茄子の焼き浸しや、ニラの酢の物などがあてはまる。


4つの「ちょい仕込み」

 

 刻み系 
切る手間をまとめる

銀杏切りにした大根は、薄く塩をしておく。ピーマンは種を除いて、手でちぎっておく。ビニール袋に入れ、IKEAで買ったクリップで二枚まとめて口を閉じる。

 加熱系 
新鮮な青菜を

野菜に火を通すのはもっぱら無水鍋で。1分ほど中火にかけて温めた鍋に、軽く水気を切った小松菜の軸を並べ、その上に葉を重ねる。蓋をして中火で2分加熱する。

 

 タレ系 
漬け丼などにおすすめ

刺し身の漬け丼を作ろうと心に決めていた朝。酒と味醂を煮切り、醤油を加えた漬けダレをホーローの容器に作っておいた。刺し身を重ならないように並べて漬けることができる。

 

 熟す系 
時間がおいしくする

多めの油で、しんなりするまでじっくり焼いた茄子。醤油と酢を同量合わせた汁に漬けて、粗熱が取れたら冷蔵庫へ。朝作っておけば、夕飯時には味が染みたご馳走になる。


ある朝のちょい仕込み

 

左から、前の晩に買ったいなだのサクは、薄く塩をしたものと味噌漬けの二種類。大根は刻んで薄く塩もみ、ほうれん草は新鮮なうちに茹でておく。丸いガラス容器にはすし酢を。


寿木けい
2010年からTwitterで「きょうの140字ごはん」を発信。フォロワーは現在11万人以上。早稲田大学を卒業後、出版社に勤務。会社員として働きながら、暮らしや女性の生き方に関する連載をもつ。著書に『わたしのごちそう365 レシピとよぶほどでもない』(セブン&アイ出版)がある。東京で夫とふたりの子供と暮らす。富山県出身。

 

 

『いつものごはんは、きほんの10品あればいい』
寿木けい著 1400円(税別) 小学館
 

【おいしくて持続可能で、体に優しくて、食べ飽きない、いつもの家ごはん】
Twitterで大人気のアカウント「きょうの140字ごはん」(@140words_recipe) が待望の書籍化。
二人の子をもつワーキングマザーの著者による、今夜の献立に迷わないための、シンプルな「家ごはん」のレシピ集。
「野菜のほったらかし焼き」「名もなき20秒卵」など、帰宅してから30分で完成する「きほんの10レシピ」を軸に、そのアレンジや季節のごはん、週末に楽しむ麺料理、お酒のあてなど、全200を超えるレシピを紹介しています。

構成協力/鹿志村杏子

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